本研究で取り扱った図書館の事務文書資料は、戦前から戦後にかけての市民の言論環境を明らかにする上での、第一級の史料である。しかし、そのような事務文書は、これまでに体系的な調査や分析がなされてこなかった。いまだ発掘の余地がある資料群であるが、本研究では、近年発見された県立長野図書館と静岡県立中央図書館の事務資料を主として分析を行なった。その結果、中央から地方への情報の流れ方の実態や、各地域においてどのように処分の情報が共有され、蔵書構成に反映されたのかが分かってきた。 今後は、他の地域の図書館文書の発掘と調査も行うことで、戦前から戦後にかけての言論状況を、全国的な視野から明らかにしたいと考えている。
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