研究実績の概要 |
最終年度は、現存するEmpsonからの書簡データベース作業を完了させた。具体的な内容は以下のとおり。 (1)Empsonからの手紙の翻刻を行った。とくに千代子の英語詩に施された添削箇所の具体的内容の解明に力を入れた。先行するPeter Robinsonの論文およびJohn HaffendenによるEmpsonの伝記および手紙集を確認し、未発表のものを確認した。 (2)草稿ノートの翻刻を行った。日本語詩がかきつけてあるノートを、推敲過程がわかるようにインク等の説明を付した形で翻刻した。エンプソンに送付した英語詩 は次の17篇(3篇紛失)。①3篇 A desire, June, A Moment's Repose…1933年4月頃作/②1篇 A Lunatic Woman …1934年4月頃作/④1篇 Standing among images of Buddha …エンプソン会合後の1934年4月作/③5篇 A hope, Two Solitude, At the Pier, A Vision of Beauty,A uvenir…1934年5-6月作/⑤1篇 A Gift To My Father …Two Bublesと近い時期作/⑤1篇 Two Bubles…A Gift To My Fatherと近い時期作、質問を付して送る/⑥3篇 [un title], A Far Away Beauty, Breathing Eternity …1934年6月作/⑦1篇 The Storm …時期不明/⑧1篇 A rain drop in the midnight …時期不明、未完成詩。 なお送ったはず(エンプソン書簡に言及あり)の「馬鹿(fool)」,「反響(Eco)」,「小鳥の独白(The small bird's soliloquy)」に対応する千代子の英詩は見つからず。 (3)上記資料調査についての紹介・報告。日本比較文学会の全国大会にて、上記資料の全容と、Empsonが千代子の英語詩に施した具体的な添削・指導内容についての報告を行った。
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