日本の詩壇からも英国からも遠く離れた東北の片隅で書かれた、英詩という規格から外れる千代子の英語詩を、日本文学や比較文学研究の分野からアプローチすることで、母語から出て書く文学例として再評価をおこなった。 また、既に著名になっていた英詩人が、親しくない日本人女性に、懇切丁寧に英詩の添削・指導をするという世界的にも珍しい事例であることに着目し、エンプソンの添削・指導という詩の形成過程(書き換え、生成論的面白さ)そのものに着目する研究を行い、〈健常/隻手〉〈英国/東京/東北〉〈男性/女性〉〈英語話者/非英語話者〉と常に劣位におかれる千代子とその詩の問題詩を考察した。
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