研究期間に行った国内外の研究発表や、海外研究者・作家等(トニー・トレンブレー、アレクサンダー・マクラウド)の招聘イベントを通して、これまで日本に紹介されてこなかった産業空洞化以後の現代アトランティック・カナダ像を日本の研究者、および筆者の勤務校のある新潟県新発田市周辺の学生および住民に紹介し、同地域に関する関心を高めることができた。 また、令和元年度に研究期間を1年延長することにより、これまでの研究の締めくくりとして、昨年8月10日に第32回エコクリティシズム研究学会シンポジウム「カナダ文学と環境――土地と資源を巡って」(於・サテライトキャンパス広島)に登壇し、これまでの研究の成果を、それまで筆者の研究の主たるオーディエンスであったカナダ文学研究者に加えて、研究対象地域が異なるエコクリティシズム研究者に、広く問うことができた。さらに、シンポジウム発表の際に取り扱ったデイヴィッド・アダムズ・リチャーズの小説『薄幸の友』と、ジョナサン・キャンベルの『ターケイディア』については、それぞれ『敬和学園大学紀要』第29巻および『エコクリティシズム・レビュー』No.13に発表することができた。 研究全体の成果に関しては、エコクリティシズム研究学会よりサポートを得て現在単著書『カナダ沿海諸州の文学風景の変容――二つの世紀末と水辺、田園の向こう側へ』(仮題、英宝社より出版予定)を編集作業中であり、筆者が期間中発表した研究論文等へのデジタルアクセスURLをウェブサイトの作成に関しても、遅れているが現在取り組んでいる。
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