研究課題/領域番号 |
16K16806
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
奥 彩子 共立女子大学, 文芸学部, 准教授 (90513169)
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研究期間 (年度) |
2017-02-07 – 2021-03-31
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キーワード | ユーゴスラヴィア / ボスニア / 口承文学 / 世界文学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、口承文芸から記述文学への移行という普遍的問題を考察するための手がかりとして、旧ユーゴスラヴィア唯一のノーベル賞作家アンドリッチの作品と、その背景にある南スラヴ口承文芸との連関を考察すること、また、そうした口承文学が、アンドリッチ作品を経由して、現代文化にどのように表出しているかを探ることにある。 初年度にあたる本年は、まず、口承文学をめぐる背景についての資料を集めるとともに、アンドリッチと現代文化とのかかわりを論じた。 具体的には、ユーゴスラヴィアを代表する映画監督エミール・クストゥリツァにおけるアンドリッチの意義を論じた。(奥彩子「ボスニアの奇想―クストゥリツァによるアンドリッチの翻案」小川公代、村田真一、吉村和明編『文学とアダプテーション』春風社、2017、pp.315-339)この論文では、クストゥリツァがアンドリッチを自身にとってもっとも重要な作家とみなし、映像作家としてのキャリアの初期にアンドリッチの短編「ビフェ・タイタニック」を映像化していたこと、その一方で、世界的な成功をおさめたのち、アンドリッチの代表作『ドリーナの橋』の映画化を構想しながらも、現時点ではそれに成功していないこと、その意味について論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口承文学に関する基本文献を集めることができ、現代文化とのかかわりから成果を出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
口承文学と現代文化という二つの側面からの研究を続け、その接合点としてのアンドリッチの意義についての考察を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
育児休業期間があったため、海外出張ができなかった。次年度に海外出張をする予定である。
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