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2018 年度 実施状況報告書

16世紀フランス歴史記述論における、前二世紀-二世紀のギリシャ語著作家の影響

研究課題

研究課題/領域番号 16K16807
研究機関学習院大学

研究代表者

志々見 剛  学習院大学, 文学部, 准教授 (40738069)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードルネサンス / 歴史記述論
研究実績の概要

本年度は、とりわけトゥキュディデス(ならびにその対照としてのヘロドトス)という二人の歴史家がルネサンス期(特に16世紀フランスを中心に)においてどのように受容されたかという問題について検討した。すなわち、ギリシャ・ローマの歴史家にとって規範とされたこの歴史家(たち)が、紀元前二世紀から紀元後二世紀ごろの諸々の著作における議論を経由して、いかにルネサンス期の歴史記述論に影響を与えたのかを検証しようと試みたのである。
具体的には、夏季休暇を利用して一週間ほどフランスのパリに滞在し、フランス国立図書館(BNF)を中心に、必要となる資料の調査・蒐集を行った。この成果ならびに昨年度までの研究成果をもとにして、2018年度末に、16世紀フランスにおけるトゥキュディデスの受容に関する雑誌論文を執筆し、投稿した。これは、古代におけるトゥキュディデス評(たとえば、キケロの弁論術関係の著作、ルキアノス『歴史をいかに記述するか』、ハリカルナスのディオニシウスの複数のトゥキュディデス論、マルケリウスの『トゥキュディデス伝』など)を前提として、フランスのルネサンスの歴史記述論がいかに――必ずしもトゥキュディデス自身のテクストにまではさかのぼることなく――トゥキュディデス的な文体(特にその作品中に見られる「弁論」)、あるいは彼が体現している(とされたような)歴史記述の方法論を評価し、また活用したかを明らかにしようとするものである。この論文は現在、査読中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたような、ルキアノスやハリカルナスのディオニシウスとルネサンス期の歴史記述論との影響関係の考察ということから発展して、ヘロドトスやトゥキュディデスといった、いずれの時代においてもカノンとなりうるような著作への評価、という視点を導入することとなった。この点も含め、研究全体はおおむね順調に推移している。

今後の研究の推進方策

今後は、ルキアノスの『歴史をいかに記述するか』に加えて『真実の話』なども視野に入れつつ、16世紀フランスにおける歴史の真実、あるいはその反転としての虚構というもの野あり方について、検討を進めていきたい。必要に応じて、厳密な意味での歴史記述論にはとどまらず、例えば回想録、旅行記、さらには諸々の虚構作品(ラブレーを筆頭に)なども題材の中に含めながら、研究をまとめていきたい。

次年度使用額が生じた理由

為替の関係により、書籍代などに多少の誤差が生じた。
次年度の物品費に含めて使用するつもりである。

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公開日: 2019-12-27  

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