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2016 年度 実施状況報告書

琉球諸語の記述と復興研究のためのプラットフォーム基盤構築研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K16824
研究機関大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所

研究代表者

山田 真寛  大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, IR推進室, 助教 (10734626)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード琉球諸語 / 言語復興 / 与那国 / 沖永良部 / 竹富 / 多良間 / コミュニティ
研究実績の概要

以下にあげる3つの目的に関して概観する:(A)地域言語学習コンテンツ作成・利用をとおしたコミュニティ主体の言語復興の仕組みの創出、(B)言語復興のためのコンテンツを利用した言語の記録と文法記述、(C)消滅危機言語研究のためのプラットフォーム基盤の構築
(A)与那国と沖永良部の地域言語コミュニティとともに、彼らに言語記述トレーニングを提供しながら複数の地域言語コンテンツを制作した。語彙収集プロジェクトはどちらの島でもコミュニティメンバーによる語彙集制作に発展した。与那国では与那国町事業と共同で制作した『与那国語会話カード集』を発展させるための分類簡易語彙集が制作され(主に島内向けに1000部配布)、沖永良部ではコミュニティメンバーによって約2000語の語彙が収集された。地域言語絵本は出版したものやサンプルを島内で配布し、教育機関や地域内読み聞かせ会などで広く利用されている。
(B)絵本制作を通して得たデータを利用して、沖永良部語上平川方言の表記法と音韻記述を学術論文として発表したほか、竹富語の表記法整備・簡易文法概説の執筆を開始した。また与那国語敬語体系を、学会などでの研究発表のほか、『与那国語会話カード集』を利用した一般向け解説として執筆し、会話カード集の付録とした。与那国語動詞形態論の記述がブックチャプターとして出版された。
(C)地域言語研究者(沖永良部、竹富、多良間)のほか、デザイナー、イラストレーター、写真家を専門家リソース、各地域のコンテンツやその制作・利用プロセスを経験リソースとして、各島の地域コミュニティと共有し、複数の地域言語コンテンツの制作を開始した。プラットフォームと具体的な活動に関する研究発表を国内外の学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画内【与那国語ことばあそび絵本】島内作家とともに最終稿データを完成させ、島内で配布したサンプルは地域内の読み聞かせ会などで利用されている。【沖永良部語絵本「みちゃぬ ふい(土の 声)」】「言語復興の港」から出版、約40冊を寄贈した沖永良部島内知名方立下平川小学校をはじめ広く利用されているほか、付録「ことばの解説」を利用した二次創作も地域内でうまれた。【竹富語民話絵本「星砂の話」】研究協力者、コミュニティの協力を得て制作を開始。【沖永良部語民話絵本「ましゅ いっしょーぬ くれー(塩 一升の 運)】研究協力者、コミュニティとともに制作を開始。【語彙収集プロジェクト】コンテンツ制作をとおして言語記述トレーニングを提供した沖永良部語、与那国語コミュニティメンバーが中心となり、それぞれコミュニティ内で、約2000語の語彙集、分類別簡易語彙集を制作。後者は与那国町と共同で制作したコンテンツの付録簡易語彙集として発表。【言語記述】沖永良部語の表記法整備・文法記述を学術論文として発表。竹富語の表記法整備、簡易文法概説を執筆中。与那国語敬語体系の記述を、学会および与那国町と共同で制作したコンテンツの付録として発表。
計画以上:【多良間語民話絵本「カンナマル クールク」】研究協力者とともに制作を開始。【多良間語辞典】本研究がQRコードを利用した音声データ付辞典のデザイン案・編集方法などを提案し、研究協力者が『たらまふつ辞典』を出版。【与那国語会話カード集と簡易語彙集】与那国町事業と共同で制作、主に島内向けに1000部配布。【言語復興研究プラットフォーム】国内外の研究会・学会で発表。

今後の研究の推進方策

これまでにコンテンツのサンプルを利用している地域コミュニティメンバーから、半構造化インタビューや質問紙などでフィードバックを回収し、コンテンツデザインを改良する。合わせてより広い利用者にコンテンツを届けるため出版を目指す。執筆中の竹富語簡易文法概説を学術論文として発表するほか、沖永良部語コミュニティが制作した語彙集を地域内で広く利用できるかたちにして発表する。
これまで制作・利用しているコンテンツを例として、沖永良部島の知名町立下平川小学校と共同で、児童と保護者を対象とした言語復興プロジェクトを展開する。下平川小学校PTAの協力を得て、夏休み期間を利用してコンテンツ制作および地域言語調査のワークショップ・オフィスアワーを開催し、各家庭で地域言語コンテンツを制作、その後島内と東京で発表・展示会を行う計画である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] University of Hawai'i at Manoa/University of California at Los Angels(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Hawai'i at Manoa/University of California at Los Angels
  • [国際共同研究] Jeju National University(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      Jeju National University
  • [雑誌論文] 琉球沖永良部語上平川方言の言語資料2016

    • 著者名/発表者名
      山田真寛、横山(徳永)晶子
    • 雑誌名

      言語記述論集

      巻: 8 ページ: 231-251

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 第12章 ドゥナン(与那国)語の動詞形態論2016

    • 著者名/発表者名
      山田真寛
    • 雑誌名

      田窪行則、John Whitman、平子達也(編)『琉球諸語と古代日本語―日琉祖語の再建にむけて』

      巻: 0 ページ: 249-279

  • [学会発表] Picture Book Project for All2017

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Yamada, Fumi Yamamoto, Akiko Yokoyama-Tokunaga, Kayoko Shimoji, Yurie Asakawa, & Yukie Matsumura
    • 学会等名
      The 5th International conference on Language Documentation and Conversation
    • 発表場所
      米国ハワイ大学マノア校
    • 年月日
      2017-03-04
    • 国際学会
  • [学会発表] Mutual Intelligibility and Mutual Respect: The effect of language devaluation on self-esteem and well being2017

    • 著者名/発表者名
      Shoichi Iwasaki, William O'Grady, Changyong Yang, Hiroyuki Nakama, Masahiro Yamada, Yukinori Takubo, Sejung Yang
    • 学会等名
      The 5th International conference on Language Documentation and Conversation
    • 発表場所
      米国ハワイ大学マノア校
    • 年月日
      2017-03-03
    • 国際学会
  • [学会発表] 消滅危機言語復興コンテンツのつくりかた2016

    • 著者名/発表者名
      山田真寛
    • 学会等名
      第11回琉球諸語研究会
    • 発表場所
      品川区第一集会所
    • 年月日
      2016-12-17
  • [学会発表] 琉球与那国語の敬語表現の意味2016

    • 著者名/発表者名
      山田真寛
    • 学会等名
      南山大学人文学部言語学講演会
    • 発表場所
      南山大学
    • 年月日
      2016-12-16
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 敬語体系の意味論・語用論-琉球与那国語の調査・分析の事例報告2016

    • 著者名/発表者名
      山田真寛
    • 学会等名
      日本言語学会公開シンポジウム
    • 発表場所
      福岡大学
    • 年月日
      2016-12-04
  • [学会発表] 「言語復興の港」プロジェクト―沖永良部語の辞書をつくろう2016

    • 著者名/発表者名
      山田真寛
    • 学会等名
      酔庵塾
    • 発表場所
      鹿児島県大島郡知名町公民館
    • 年月日
      2016-09-12
    • 招待講演
  • [学会発表] 言語復興の港―消滅危機言語の復興プロジェクト2016

    • 著者名/発表者名
      山田真寛
    • 学会等名
      立命館大学ライスボールセミナー
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2016-06-21
    • 招待講演
  • [図書] みちゃぬ ふい2016

    • 著者名/発表者名
      松村雪枝、山田真寛、横山(徳永)晶子、元木環、浅川友里江
    • 総ページ数
      50
    • 出版者
      言語復興の港

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-22  

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