研究課題/領域番号 |
16K16825
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安田 麗 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (60711322)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 音声学 / 複言語教育 |
研究実績の概要 |
平成29年度は主に知覚面からの研究に取り組んだ.聴覚実験のための準備として,平成28年度に実施した生成実験で得られた基礎データをもとに刺激音声を作成し予備実験を実施した.聴覚実験では語末閉鎖子音をどのように知覚しているかを明らかにすることを目的とする.ドイツ語母語話者を対象に行った予備実験では,ドイツ語母語話者は語末閉鎖子音をおおむね正確に聞き分けていることがわかった.さらに,語末閉鎖子音の種類によっても知覚の正確さが異なり,/g//k/が語末の場合に正答率が高くなる傾向であることがわかった./g//k/が語末にある場合,語末の子音/g/は無声化してどちらの発音も[k]になるが,直前の母音の長さと子音の閉鎖区間の長さが,他の閉鎖子音/b//d//p//t/が語末にある場合よりも差が大きいことがわかった.これらの音声的な違いを手がかりに,ドイツ語母語話者はより正確に2つの語を聞き分けているということがわかった.今後,予備実験の結果を踏まえてさらに聴覚実験の修正を行い,対象を日本人ドイツ語学習者にも広げて実験を行う予定である. 聴覚実験に平行して,引き続き不足していた音声データの補完として,日本人ドイツ語学習者とドイツ語母語話者を対象とした生成実験を行い,それぞれのドイツ語と英語の音声データを収録し分析を行った.これらのデータについてもこれまでと同様に,(1)語末の母音+/r/の発音(2)語末閉鎖音/b//d//g/と/b//t//k/ の発音(3)母音・二重母音の発音,以上の3点について分析をおこなった.引き続き充実した資料の作成を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は今後おおむね当初の研究計画の通り推進する.平成30 年度は,知覚面からの研究にさらに取り組み,予備実験の結果を踏まえ更なる修正を加えた聴覚実験をドイツ語母語話者や日本人ドイツ語学習者を対象に実施する.さらに,ドイツ語母語話者による学習者音声の自然性評価も実施し,聴覚実験の結果とあわせて考察する.縦断的データの収集のため,平成29 年度に引き続き生成実験を行い同一話者についての音声収録を実施し,収集した音声データもこれまでと同様に分析し,学習の経過による変化を観察する。
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今後の研究の推進方策 |
平成30 年度は最終年度であるため,生成実験で得られた横断的データと縦断的データ,それに聴覚実験により得られた知覚面からの分析データのすべてを総合考察し,研究の総まとめを行う。研究によって得られた成果を論文にまとめ上げ,投稿準備を進める。さらに,複言語教育のための効果的な指導法の開発へと発展させ今後の研究に繋げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の清算により手数料が払い戻されたため次年度使用額が生じた.翌年度分の助成金とあわせて物品費に充てる計画である.
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