本研究の目的である韓国語と日本語の中断節の使用状況および両言語における対応関係を分析、考察した。まず、2018年度韓国日本語学会第38回国際学術発表大会(国際学会) において口頭発表を行なった内容を踏まえて、さらにデータを追加・補強し、英語を起点言語とする映画台詞(3作品)の日韓それぞれの対訳集に出現した中断節をすべて抽出し、両言語における中断節の種類と頻度を調べた。その上で、考察対象を特によく使用される上位4つまでの中断節に絞って、中断節の種類によって日韓でどのような対応関係を成しているのかを明確にした。その研究成果を国際学術誌『日本語學研究』に投稿・掲載した。 次に、上記の研究において最も生起頻度が高く現れた韓国語の「nuntey」に焦点を絞って、韓国原作ドラマ(5作品)とその日本語吹き替え版を用いて、「nuntey」に対応する日本語の形式を調査した。具体的には「nuntey」が従属節内(文中)に生起している場合と、主節なしに単独で使用される場合(文末・中断節)に分けてそれぞれの生起頻度を調べた。次に文末・中断節の「nuntey」の発話場面を「心的態度表出」「情報提示」「情報要求」の3つに大別し、各場面における日本語の対応形式とその特徴を考察した。その研究成果を国際学術誌『日本文化學報』に投稿・掲載した。 さらに、本研究のテーマである従属節が主節化する中断節に焦点を当てて分析しているうちに、主節(独立文)が直接引用修飾節内に生起するという、やや特異な現象に着目するようになった。この用法について韓国の新聞記事のタイトル、広告文、インターネットのブログの用例を収集し、その機能と特徴を分析した上で、このような既存の文法体系から逸脱した現象が生じる背景について考察を深めた。その研究成果を『日本語と世界の言語の名詞修飾表現』(ひつじ書房)に収録した。
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