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2019 年度 実績報告書

上古中国語における否定詞体系の通時的研究―出土文字資料を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 16K16836
研究機関二松學舍大學

研究代表者

戸内 俊介  二松學舍大學, 文学部, 准教授 (70713048)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード上古中国語 / 否定詞 / 不/弗 / 毋/勿/無 / 甲骨文 / 論語 / 漢簡
研究実績の概要

2020年は最古の中国語資料である殷代甲骨文の*p-type否定詞(声母が*p-で始まる否定詞)の「不」と「弗」について「再議甲骨文中的否定詞“不”與“弗”的語義功能區別―兼論甲骨文的非賓格動詞」(田wei主編《文字・文獻・文明》、上海古籍出版社、2019年10月)という題目で、中国で論文を発表した。時代が下った春秋戦国時代の「弗」と「不」については、戸内は「弗」が「不」と前置された目的語代名詞「之」の合音であるという、従来の説を踏襲するが、さらに時代の下った前漢~後漢の「弗」と「不」の状況については、台北の台湾師範大学で開催された「漢語語法化的通與變國際學術研討會・第11屆海峽兩岸漢語語法史研討會」にて「“不”為什麼會有“弗”的讀音 ―論上中古“不”和“弗”的演變」というテーマで口頭発表を行った。
次に上古の*m-type否定詞(声母が*m-で始まる否定詞。「毋」、「勿」及び「無」など)に関してであるが、殷代~春秋戦国のものについては一部すでに口頭発表を行なったが、論文という形でまとめるまで至らなかった。前漢代の*m-type否定詞の状況については、「海昏侯墓木牘『論語』初探」という論文にて、海昏侯墓木牘『論語』、定州漢簡『論語』、北京大学蔵漢簡『趙正書』と『妄稽』に見える「毋」と「無」について調査し、漢代出土資料における「無」から「毋」への文字の書き換えについて論じた。なお、この論文は『中国出土資料研究第24号』(2020年)に掲載される。
本研究を通して、上古におけるいくつかの否定詞の通時的状況については概ね分かりつつあるが、西周時代の否定詞の検証についてはなお不十分である。
なお、本科研の成果の一部が反映されている拙著『先秦の機能語の史的発展ー上古中国語文法化研究序説』(研文出版、2018年)は2019年12月に第47回金田一京助博士記念賞を受賞した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] 海昏侯墓木牘『論語』初探2020

    • 著者名/発表者名
      戸内俊介
    • 雑誌名

      中国出土資料学会編『中国出土資料研究』

      巻: 24 ページ: 2-30

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 漢語と外来語2020

    • 著者名/発表者名
      戸内俊介
    • 雑誌名

      佐藤進・小方伴子編『講座 近代日本と漢学 第7巻 漢学と日本語』

      巻: 7 ページ: 24-46

  • [雑誌論文] 再議甲骨文中的否定詞“不”與“弗”的語義功能區別――兼論甲骨文的非賓格動詞2019

    • 著者名/発表者名
      戸内俊介
    • 雑誌名

      田wei(火+韋)主編《文字・文獻・文明》

      巻: なし ページ: 11-35

    • 査読あり
  • [学会発表] “不”為什麼會有“弗”的讀音 ―論上中古“不”和“弗”的演變2019

    • 著者名/発表者名
      戸内俊介
    • 学会等名
      漢語語法化的通與變國際學術研討會・第十一屆海峽兩岸漢語語法史研討會
    • 国際学会
  • [学会発表] 金文資料における否定詞2019

    • 著者名/発表者名
      戸内俊介
    • 学会等名
      シンポジウム「漢語史研究における動態的観点と静態的観点」
    • 招待講演
  • [学会発表] 阪哲評書: 戸内俊介 『先秦の機能語の史的発展―上古中国語文法化研究序説』(研文出版、2018)2019

    • 著者名/発表者名
      戸内俊介
    • 学会等名
      阪神中哲談話会
    • 招待講演
  • [学会発表] 地下から出た『論語』-出土資料から『論語』の原形を探る-2019

    • 著者名/発表者名
      戸内俊介
    • 学会等名
      論語の学校
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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