本研究は中国語教育・研究双方で利用できる「中国語形態素解析システム」と形態素解析に必要な「解析用辞書」を構築することを目的としている。この「中国語形態素解析システム」が目指す最終的な到達点としては、研究目的として過去100年程度における中国語教材に含まれる中国語のテキストを通時的に解析する能力を有し、さらに現代の中国語教材を対象として、教育目的での解析が可能となる能力を有するシステムを構築することにある。最終年度は昨年度末に管理するサーバー上に設置した「中国語基本語彙検証データベース」の検証、データの拡充、形態素解析用辞書のアップデートなどの作業を実施した。 また今年度に実施した資料調査の結果、昭和初期には一般的な教材だけではなく、カルタやメンコといった玩具を利用した子供向けの教材や、新聞を利用した教材などの存在を明らかにすることができ、これらの教材についてもテキストデータ化し、データベースに収録した。これ以外にも研究対象期間の教材の収集を継続し、中国語教材の目録の継続的な整備を行っている。また研究成果の報告を日本中国語学会第 69 回全国大会(ポスター発表)と世界漢語教育史研究学会第11回大会(口頭発表)で行い、形態素解析に関するワークショップをJapanese Association for Digital Humanitiesで実施するなどした。
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