研究課題/領域番号 |
16K16843
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下地 理則 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (80570621)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 琉球諸語 / 日本語 / 方言 / 情報構造 / 焦点 |
研究実績の概要 |
29年度は,下記の進展があった。まず,琉球諸語の焦点標示の類型化に関する調査票を開発し,それを実際に使ってデータを集め,研究論文として投稿した(Information structure, focus and focus-marking hierarchy, 日本言語学会機関誌『言語研究』154号)。これは現在査読中であるが,依頼論文のため,確実に出版される。さらに,本研究の成果を反映した,日本の方言の格標示に関する類型化の論考を,Cambridge Handbook of Japanese Linguisticsに寄稿し,2018年に出版されている。 こうした個人の研究成果のほか,本研究課題とほかの共同研究との密接な連携を図ることに成功した。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の共同利用研究課題(「通言語的・類型論的観点から見た琉球諸語のケースマーキング」,研究代表:下地理則)とは,本研究の重要な知見である焦点標示に関する類型化を,共同利用研究課題の格標示の類型化と絡めて議論することができた。琉球大学国際沖縄研究所の共同研究(「島嶼間の言語接触の実態解明に向けての基礎的研究」研究代表:下地理則)では,本研究で開発した焦点標示の類型化に関する調査票を,共同研究の共同研究者たちに使ってもらうことができ,科研費の個人研究だけでは得られない多様なデータを得ることができた。科研費基盤S(代表:狩俣繁久氏),基盤C(代表:竹内史郎氏)とは,日本語文法史の専門家とコラボレーションしてシンポジウムを開催でき(成城大学100周年シンポジウム「みんなの知らない日本語」),その成果は,書籍化が決まり,現在入稿後の状態にある(竹内史郎・下地理則編『日本語の分裂自動詞性』東京:くろしお出版)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述の通り,得られたデータをもとに理論化ができ,その成果を全国的な査読誌への論文投稿という形ですませており,さらに国際的な出版社(Cambridge University Press)からも成果が出版されている。また,様々な共同研究とのコラボレーションも果たし,そのうち書籍化も決まっているものがある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,前年度までの成果を取りまとめる段階にあると考えている。補完調査を行った上で,国際雑誌への投稿(Glossa誌への投稿を準備中)を行い,同時に,前年度の段階で進行中の書籍(『日本語の分裂自動詞性』)を出版し,さらに,国立国語研究所と共同で行った格と情報構造に関するシンポジウムの書籍化(私は共同編集者の1人)も進めていく。さらに,前述の共同研究(「通言語的・類型論的観点から見た琉球諸語のケースマーキング」)との連携の成果を書籍化する作業に入る。
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