研究課題/領域番号 |
16K16844
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
鳴海 伸一 京都府立大学, 文学部, 准教授 (90611799)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 語史 / 類型化 / 漢語の日本的変容 / 時間的意味 / 程度的意味 / 評価的意味 |
研究実績の概要 |
日本語における漢語の研究は、個別の問題だけでなく、漢語全体にかかわるような理論化・体系化を視野にいれた研究もおこなわれるようになってきている。ただし、これまでの研究は、体系性の明瞭な分野に関心が集中している。あつかう事象の体系性が比較的とらえやすいものだけでなく、個別の語史研究を総合し、抽象化することによって、語の意味変化の方向性という観点から類型化するという研究方法も必要であろう。 そのような問題意識のもとに、本研究では、語の意味・用法が変化する事例のうち、副詞用法を発生させたものを対象に、まずは個別の語史を考察する。そして、それを総合することによって、副詞の意味変化のありかたを類型化してしめす。また、それをもとに、漢語副詞の発達を、漢語の日本的変容の現象のなかでとらえなおすとともに、日本語における副詞の変化・発達の歴史における、漢語受容のはたした役割を考察する。さらには、そのような理論的総合を視野に入れた個別の語史研究のありかたを、方法論的に検討する。こうした目的を達成するための一環として、本研究では、(時間的意味・程度的意味・)評価的意味を発生させた漢語副詞の語史をまとめ、意味・用法変化の類型化を試みる。 当該年度は一年目であり、本研究の目的の全体を視野に入れつつ、個別の語史と、それにかかわる現象の考察をはじめたところである。具体的には、程度的意味発生の事例について、個別の語史研究をすすめた。これは、次年度の類型化の考察にそなえるものである。程度的意味の発生については、現代語研究で進んでいる程度的意味の周辺的な意味とのかかわりの分析を踏まえて考察している。特に、〈よい、すぐれている〉という意味と(文法的意味としての)程度の高さとの関わりを考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
程度的意味発生の事例について、個別の語史研究をすすめているが、現時点で論文の完成・公開にはいたっていない。そのため、次年度におこなう予定の、類型化の考察のめどが具体的にはたっていない。また、時間的意味の発生・評価的意味の発生については、個別の語史研究や、類型化にそなえた事例の外延の考察などが、あまりおこなえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
個別の語史研究を継続するとともに、不足をおぎなったうえで、副詞の意味・用法変化の方向性としての時間的意味の発生・程度的意味の発生について、具体的な過程と類型をまとめる。当面、昨年度におこなった調査・考察をもとに、個別の語史研究としての論文の完成・公開をめざす。 また、評価的意味の発生についても、個別の語史研究をすすめる。さらに、個別の語史からわかる、日本語における副詞の変化・発達の歴史における、漢語受容のはたした役割の考察をすすめる。これまでにあつかった語史をもとに、ⅰ もともと時間的意味・程度的意味を表す漢語として受容したものと、日本語においてそれらの意味を発生させたものとの、歴史的前後関係、ⅱ 漢語単独で副詞用法として使用されるか、「に」「と」などのついた形で使用されるか、ⅲ 評価的意味が、同一の語において、他の時間的意味・程度的意味などの意味に先んじて発生するか、遅れて発生するか、といった観点について、和語と漢語の間での異なりに注目しながら、個別の語史研究からわかることをできるだけおおく指摘し、来年度のまとめにそなえる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度については、人件費・謝金費を使用しなかったため、いくらか次年度使用のための費用がのこることとなった。次年度に、消耗品類等に相当程度の支出がみこまれるため、それにあてることにした。
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次年度使用額の使用計画 |
古代語の用例・データを収集するために、コンピュータおよびデータ整理用のコンピュータソフトが必要である。また、コンピュータ周辺機器等を研究期間中継続的に使用するための、消耗品類も勘案している。日本語学・日本語史学関係図書は、基本的なものはすでに整備されているが、不足すると思われるものもあり、また、今後刊行されるものも想定されるので、設備備品として計上している。
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