研究課題/領域番号 |
16K16845
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
澤田 淳 青山学院大学, 文学部, 准教授 (80589804)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ダイクシス / 直示 / 対照研究 / 日本語史 / 方言 / 語用論 / 談話文法 / 視点 |
研究実績の概要 |
本研究は、総合的な観点からダイクシス研究を行うことを目的としている。本年度の研究実績の概要は次の通りである。
1.「ていく/てくる」のアスペクト用法について、移動動詞「行く/来る」の視点制約、および、時間メタファー(時間移動、自己移動)との関連から考察を行い、「日本中部言語学会第64回定例研究会」(静岡県立大学、2017年12月16日)にて発表を行った。次年度以降、他の空間由来の時間語彙を含めつつ、さらに考察を深める予定である。 2.前年度に引き続き、指示詞「あの」のミラティヴ用法(モーダル用法)について考察を行なった(澤田治氏(三重大学)との共同研究)。この現象を「ミラティヴィティ」(mirativity)の観点から捉え直すことで、指示詞と知識の問題、「なんて/とは」等が表すミラティヴィティとの違いなど、新たな課題が浮かび上がってきた。次年度の論文化を目指すと共に、他言語の指示詞との対照研究も進める予定である。 3.「のことだ(から)」について、名詞句の指示(reference)、知識と証拠性(evidentiality)、モダリティと因果性などの観点から考察を行った(澤田治氏(三重大学)との共同研究)。次年度、ワークショップ“Implicit and explicit marking of discourse relations: the comparison between causals vs. conditionals”(オスナブリュック大学(ドイツ)、2018年5月24、25日)において、このテーマでの研究発表を行うことが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
知識と証拠性、名詞句の指示、ミラティヴィティ、モダリティなど、ダイクシスとも関連の深い現象にも考察の範囲が及んだことで、研究内容に広がりが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度、人称表現(親族名称)、敬語と卑罵語、「ていく/てくる」のアスペクト用法、指示詞「あの」のミラティヴ用法について、形としてまとめる予定である。また、出雲方言(島根県安来市方言)のダイクシス表現(とりわけ敬語)について、澤田治美氏(関西外国語大学)との共同研究のもと考察を進める予定である。
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