研究課題/領域番号 |
16K16846
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
林 直樹 日本大学, 文理学部, 研究員 (70707869)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | あいまいアクセント / 首都圏東部域音調 / 音響的分析 / 下降幅 / ピーク位置 |
研究実績の概要 |
2017年度は、首都圏東部域音調にみられる「あいまい性」「明瞭性」の関係を明らかにするとともに、聞き取り調査を行うための準備調査を行い、研究を進めた。より具体的には、以下二点を中心として研究に取り組んだ。 1)音響的指標による音調の「あいまい性」「明瞭性」把握のための成果を公開するため、方言学における最大規模の国際学会である “Methods16” にて発表を行った。発表内容は、音響的な特徴に基づき、あいまいアクセント的特徴を有する話者と明瞭アクセント的特徴を有する話者との分類を試みたものである。 上記学会での発表を行った結果、統計分野の専門家からクラスター分析にかんする助言を受けることができた。また、その他にも方言研究・音声研究を進めるにあたって必要な統計的手法や、さまざまな知見を交換し、研究を発展させるための展望を得た。 2)音響的手法に基づき、あいまいアクセントの知覚実態を明らかにするための試行的な聞き取り調査を行った。調査の前段階として、まず、「標準的」と考えられる音声を取得した。次に、その音声の高低差やピークの位置を変え、再合成した音声を作成した。そして、実際のアンケートではそのように作成した複数の音声を提示し、どのように聞き取るのかを尋ねていった。 分析の結果、首都圏に生育した若年層におけるアクセントの知覚にかかわる音響的指標についての見通しが得られた。この結果は、次年度に順次公開していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は成果公開と試行的な調査・分析を行うことを目標として掲げた。 これまで進めてきた研究成果を国際学会で発信することで、国内外に向けて成果を公開した。また、成果公開とともに、2018年度に聞き取り調査を行うための試行調査と、その結果の分析を行うことができたため、おおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、音声を提示して聞き手がどのようにアクセントを聞き取るか、という聞き取り調査を本格的に行い、さらに広く成果公開を進めていくことを目標に掲げている。そのため、調査を行いつつ分析を進めていく。また、発話調査と聞き取り調査を併せて分析できるような手法も検討し、より総合的な研究ができるようになることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については、購入物品を精選したため。旅費については、国外で開催される国際学会に参加する予定であったが、見送ったため。その他や人件費・謝金については、本格的な調査を行う次年度に集中的に執行するため。
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