日本語点字はかな専用文のため、同音異義語の読解への影響や漢字かな交じり文と比べた場合の可読性について疑問が呈されることがある。しかしながらそれらの疑問に関しての計量的な調査については数少ない。そこで、墨字から点字への翻字の際に同音異義語に付与される点訳注および点字文と墨字文の語種比率についての調査を行ったところ、点訳注の付与は語の「なじみ度」と関連していること、また語種比率はかな専用文である点字文の特徴的というものは見いだせず、従来研究されてきた掲載媒体の特徴との共通点が多く見られた。かな専用文における同音異義語の錯綜への懸念については、漢字不可欠論等との関連から考察していく必要があるだろう。
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