研究課題/領域番号 |
16K16852
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
茨木 正志郎 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (30647045)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 二重属格 |
研究実績の概要 |
本年度は英語の二重属格の出現について、中英語のコーパスPPCME2を用いて調査を行った。二重属格とはa friend of mineのように、属格の前置詞ofとそれに属格名詞句が後続する構文をいう。また、修飾要素が指示詞であるthat nose of yoursのような二重属格もある。さらに、現代英語では容認されないthe friend of yoursのような、定冠詞を修飾要素に取るタイプも、以前の英語には観察された。これらの出現について調査・分析した先行研究に、Gaaf (1927)やHatcher (1950)、Heltveit (1969)、Allen (2002)などがある。本年度は、それぞれのタイプが出現した年代をコーパスを用いて調査し、二重属格の起源について考察した。 ほとんどの先行研究では、不定冠詞のa friend of mineが先に出現し、その後、指示詞タイプが出現したということで一致しているようである。すなわち、不定冠詞タイプの二重属格が1350年頃に出現し、続いて、1450年ごろに指示詞・定冠詞タイプの二重属格が出現したと主張している。 PPCME2を使った調査では、不定冠詞タイプの最初の事例は1400年頃の文献から見つけることが出来た。これは、Gaaf (1927)やAllen (2002)よりも遅い時期であるが、これらの先行研究ではPPCME2に含まれていない文献の調査も行っている。指示詞タイプの二重属格は、1490年頃に1例確認されたのみであり、今後、近代英語の分布を調査する必要がある。しかしながら、定冠詞タイプの二重属格が1350年頃には存在していたことが分かった。これは、先行研究で言われている年代より、100年ほど早い時期であることが分かった。 今後は、近代英語についても調査を行い、さらに、なぜこの構文が出現したか分析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二重属格について中英語のデータを取った。今後は近代英語についてもデータを集め、なぜこのような構文が出現したのか考察する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、言語事実の発掘のため、データ収集を行う。データより浮かび上がる事実に対して、生成文法の理論的枠組みで、説明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたよりも旅費を抑えて実施することが出来たため、次年度使用額が生じた。次年度の物品費に充てることとする。
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