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2016 年度 実施状況報告書

他動詞虚辞構文に関する史的統語研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K16853
研究機関北海道教育大学

研究代表者

本多 尚子  北海道教育大学, 教育学部, 特任講師 (40735924)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード史的統語論
研究実績の概要

本研究の目的は、英語史において他動詞虚辞構文が14世紀後半から初期近代英語期初頭というごく限られた期間のみ許されていた事実と、通常のthere構文が古英語期から現代英語期に至るまで絶えず存在し続けていた事実を共通の理論的説明から導くことができる統語分析を提案することである。この目標を達成するため、実証面では電子コーパス調査によって両構文の用例を収集するとともに、理論面ではChomsky (2013)のラベル付けのアルゴリズムに基づき両構文に関する言語事実をどのような形で説明できるかを考察する。平成28年度の成果は、次の4点にまとめられる。第1に、電子コーパス調査の結果を踏まえ、虚辞thereが占める統語構造上の位置及びその変化(TopP指定部からFinP指定部、そしてTP指定部へ)の正確な同定を行った。第2に、他動詞虚辞構文の出現及び消失を引き起こす統語メカニズムを、Chomsky (2013)のラベル付けのアルゴリズムと縄田(2016)の史的素性推移分析を採用することで明示化した。第3に、他動詞虚辞構文の発達と関連付けられうる他の構文として非能格虚辞構文及び関連要素DPのFinP指定部への移動を伴う一部の非対格虚辞構文の出現及び消失時期とその特徴に関する正確な同定を行った。第4に、他動詞虚辞構文の出現及びその消失に関わる動機として、英語が談話階層言語から命題階層言語へと変化したことが大きく影響した可能性を明示した。
これらの研究成果をまとめた学術論文を、2016年9月にレフェリー付き全国誌である近代英語研究第33号に投稿し、既に掲載が決定している(発行は2017年7月予定)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要でも述べたとおり、本研究の目的は、 英語史において他動詞虚辞構文が14世紀後半から初期近代英語期初頭というごく限られた期間のみ許されていた事実と、通常のthere構文が古英語期から現代英語期に至るまで絶えず存在し続けていた事実を共通の理論的説明から導くことができる統語分析を提案することである。この目標を達成するための方法論として、電子コーパス調査により用例を収集する実証的アプローチと Chomsky (2013)のラベル付けのアルゴリズムと縄田(2016)の史的素性分析に基づく理論的アプローチを採用している。平成28年度に予定していた研究計画は全て当初の予定通り順調に進めることができ、研究成果をレフェリー論文としてまとめ2017年中に発表することができるようになった。29年度は、現代英語の他動詞虚辞構文に関する共時的な調査及びその結果に基づくより詳細な統語分析の提案を行っていきたい。さらに、当該分析を他言語の他動詞虚辞構文にも適用可能かどうかの検討も進める。

今後の研究の推進方策

本年度で提案した虚辞構文の統語分析をさらに発展させるため、現代英語の他動詞虚辞構文に関する共時的な調査及びその結果に基づくより詳細な統語構造の提案を行う。さらに、当該分析を他言語の他動詞虚辞構文にも適用可能かどうかの検討も進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 虚辞構文の歴史的発達について2017

    • 著者名/発表者名
      本多尚子
    • 雑誌名

      近代英語研究

      巻: 33 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 他動詞虚辞構文とその関連構文における共時・通時2016

    • 著者名/発表者名
      本多尚子
    • 学会等名
      第3回史的英語学研究会
    • 発表場所
      島根大学
    • 年月日
      2016-08-19 – 2016-08-19

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公開日: 2018-01-16  

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