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2017 年度 実施状況報告書

日英語完了・結果指向構文にみるモダリティとアスペクトの相関性

研究課題

研究課題/領域番号 16K16855
研究機関静岡大学

研究代表者

田村 敏広  静岡大学, 情報学部, 准教授 (90547001)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード完了・結果指向構文 / 話者の感情表出 / 事態の不可変性
研究実績の概要

本研究で設定した「完了・結果指向構文(Get受動文・「てしまう」構文)のにおいて同種のモダリティが表出するのは決して偶然ではなく、完了・結果焦点という構文のアスペクト性に強く動機づけられているのではないかという仮説の立証に向けて、コーパスデータを用いてモダリティ表出の事例を収集し、結果指向構文にはモダリティ表出の強い傾向が確認できた。Get 受動文と「てしまう」構文の結果指向性から生じる「発生済みで変更できない事態である(事態の不可変性)」という含意(entailment)が、文脈による推論を経て、モダリティの表出に繋がっている可能性を指摘した本申請者による2009年の研究論文を基盤とし、本年度は主に事態の不可変性というアスペクト的性質とモダリティ表出の相関性について検討した。具体的には、「Get 受動文」「てしまう(ちゃう)構文」に加え、日本語の瞬間構文(eg.来た!)や英語の Hot News Perfect (eg.Malcolm X has just been assassinated.)等のアスペクト性とモダリティ表出が関わる構文を分析対象とした。完了・結果指向構文におけるモダリティの表出は、構文のアスペクト性によって含意される事態の不可変性が、語用論的推論によってモダリティ表出、つまり、話者の感情の表出を引き起こしていることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では以下の3つの研究ステージを設定し、それぞれのステージで得られた知見に基づいて進めていく予定であったが、特にステージ[2]においてデータ収集が困難でありやや遅れ気味となっている。

研究ステージ[1][想定されるモダリティ表出メカニズムの妥当性(共時的分析)]:日英語の完了・結果指向構文のアスペクト性によって含意される「事態の不可変性」がモダリティ表出の基盤となっていることを、主に共時的観点からの分析によって明らかにする。
研究ステージ[2][想定されるモダリティ表出メカニズムの妥当性(通時的分析)]:日本語の感動詞「しまった」等に着目し、完了・結果指向構文のアスペクト性が、モダリティ形式への言語変化を引き起こす可能性を通時的観点からの分析によって明らかにする。
研究ステージ[3][アスペクトとモダリティの相関性に関する言語一般性の検証]:完了・結果指向構文(他言語を含む)のアスペクト性とモダリティ表出の相関は言語一般性をもつのか、その可能性を検証する。そして、完了・結果指向を表す他構文においてもアスペクト性とモダリティの相関関係が確認されれば、本研究の妥当性の強力な裏付けとなる。

今後の研究の推進方策

主に以下の研究ステージ[2]の推進が主となるが、日本文学の専門家の助言を得ながら、古典作品におけるデータの収集を行っていく。そのデータをもとに、完了・結果指向構文のアスペクト性と、モダリティ表出を伴う形式への歴史的変化を考察していく予定である。

研究ステージ[2][想定されるモダリティ表出メカニズムの妥当性(通時的分析)]
日本語の感動詞「しまった」等に着目し、完了・結果指向構文のアスペクト性が、モダリティ形式への言語変化を引き起こす可能性を通時的観点からの分析によって明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗の遅れにより、当該研究の延長申請を行った。
データ収集のためのコーパス使用料、関連書籍の購入、研究結果の学会発表のための旅費等に使用する予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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