研究課題/領域番号 |
16K16866
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
古賀 万紀子 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 助手 (20771554)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 就職支援 / キャリア教育 / 実践教育 / 協働 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本企業への就職をめざす海外の日本語学習者の就職活動の実態を明らかにし、協働的コミュニティ創出の実践研究を通じてそれを支援することである。 研究初年度である2016年度は、韓国の日本語学習者の就職活動の実態を明らかにするため、次の4つの調査を行った。(1)大学生対象アンケート調査:5月から9月にかけて韓国内の大学に在籍する日本語専攻者77名を対象に実施した。設問の内容は、日本企業への就職に対する意識、就職活動の悩み、大学の就職支援の取り組みなどに関するものである。(2)就職活動中の大学生対象の半構造化インタビュー: 1名の学生に対し複数回にわたってインタビューを行い、就職活動の実態や悩みについて聞いた。(3)日本語教師対象のアンケート調査および半構造化インタビュー:1名の日本人教師に対し、ビジネス日本語授業に関するアンケートに回答してもらったのち、就職支援に対する意識に関してインタビュー調査を行った。(4)日本の大学における留学生就職支援の実態調査:海外の事例と比較するため、留学生が多数在籍する日本の大学ではどのような就職支援の取り組みが行われているのかを公開資料をもとに調査した。 調査の結果、韓国の大学生が日本企業への就職に際しさまざまな問題を抱えていること、しかし韓国の大学では日本企業就職に特化した支援が殆ど行われていないことが明らかになった。そこで、本研究では(2)の調査協力者とともに就職活動生同士のスタディーグループを企画し、運営の支援を行った。さらに、大学における就職支援に対するニーズを鑑み、日本企業への就職希望者を対象としたキャリアセミナーを企画し、韓国の大学で二度にわたり実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では、初年度は個別による就職支援実践、次年度にグループ形態での実践を計画していたが、初年度中にグループ実践(スタディーグループ)まで進展した。さらに、より大規模・対多数のクラス形態での実践として、数十名が参加するキャリアセミナーも企画し、実施に至った。 また、海外の日本語学習者の就職活動の実態を明らかにするための方法として、当初は学習者対象の個別の半構造化インタビュー調査のみを計画していた。しかし、それに加えて複数名の学習者に対するアンケート調査もすることで、質的と量的の両側面から分析することが可能となった。また、教師にもアンケートとインタビュー調査を実施することで、学習者視点のみならず教師視点もふまえ、より包括的な実態の把握が可能となった。さらに、海外のみならず日本国内の実態も調査することで、比較分析を行う知見が得られた。 このように、調査や実践を精力的に行うことで、当初の計画よりも研究が進展し、期待以上の成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究成果を発表するため、収集したデータの分析および論文執筆に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度中にスタディーグループにおける参与観察調査やセミナー実施のため予定よりも多く韓国出張の必要が生じた。そのため、前倒し請求により出張を行ったが、航空券代などが安価に抑えられたため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は追加調査および論文発表のために助成金を使用する計画である。
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