本研究では、聴覚障害学生が高等教育機関で学ぶ際に使用する手話通訳のうち、特に聞き取り通訳(音声日本語から手話への変換)について、どのような訳出技術があれば、話者の論理や態度を正確に伝達できるのかを明らかにすることを目的とした。 この結果、起点談話(原文)の語順通り表出するのではなく、日本語とは異なる言語である手話への翻訳が必要であること、具体的には、①主体の態度がより明確になる語彙選択を行う②前後の文の関係性をより明確化する文または接続詞を明確に表出する③数の大小、立場の上下、過去と現在など、対比が明らかな場合は、これを効果的に挿入する、といった訳出方略が明らかになった。
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