研究課題/領域番号 |
16K16876
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
歳岡 冴香 大阪大学, 国際教育交流センター, 特任助教 (40708468)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 英語教育支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、大阪大学国際教育王流センター開催の留学生による英語学習支援プログラム(プロジェクトHELP!) が、大学生・大学院生の英語力向上に与えた効果を実証的に研究することを目的とする。同プログラムでは、大阪大学在籍学生から、参加を希望する留学生(英語話者)と、IELTS受験を目指す英語学習者を募ってペアを決め、90分の英語での英語学習セッションを合計8回実施する。なお、昨年度の参加者に実施したアンケートを分析し、英語4技能のうち、スピーキングとライティング力の向上を期待しプログラムに参加する学生が多く、プログラム終了後にはスピーキング力の向上を実感する参加者が多いという傾向が明らかになっている。 平成28年度は前期、後期の二度に分けて、同プログラムを実施した。プログラムの効果を測るために、以下のデータを採集した。1.)英語学習者による課題英作文(250語)、2.)英語学習者によるアンケート回答、3.)英語学習者による学習セッションの記録、4.)同意を得られた参加者による英語学習セッションの音声録音記録(約7割を文字化済み)。 平成28年度中に採集したデータのうち、前期に実施したプログラム修了者16名による1.) 2.) 3.) のデータ分析結果及び、プログラムの実施状況について、大学英語教育学会関西支部秋季大会で報告した。その具体的な報告内容は、プログラム開始時参加者のうち終了する者の割合が約7割である点、セッションの進行ペースとしては、どの参加者も比較的計画的にセッションを実施することができている点、また特に、前述1.)3.)のデータ分析結果から、プログラム参加を通し、参加者に、英語学習意欲や異文化への関心の高まり、効果的なフィードバックを得ることによる学習意欲や自信の向上がみられることが、平成28年度の研究から明らかになった点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の通り、プログラムを前期・後期の2回実施した点、概要に述べた通り、プログラム効果を多角的に分析するために、複数の観点からデータを採集した点、また、データの一部を分析した結果及びプログラム実施状況について学会で報告した点から、概ね順調に進捗しているといえる。なお、採集したデータのうち4.) 同意を得られた参加者による英語学習セッションの音声録音記録は、計画書提出の時点では予定していなかったものだが、留学生との会話が英語学習者に与える影響を、より詳細に分析するために有用なデータとして、新たに採集を決めた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年4月に研究代表者が所属機関を変更したことに伴い、当初の研究計画に多少の変更が必要になるが、当該の英語学習支援プログラムの効果を実証的に研究するという目的の達成を目指し、引き続き研究を遂行する。具体的な変更点としては、平成29年度については、研究代表者はプログラムの運営には関わらず、また、プログラム参加者の学習記録等のデータを一元的に集めている当該学習支援プログラム専用ウェブシステム(MENTOR)へのアクセスも行わない。したがって、29年度に分析及び結果発表と並行して行うことを予定していた新たなデータ採集は実施しない。 平成29年度には、「研究実績の概要」に挙げたデータ4.)「同意を得られた参加者によるセッションの音声録音記録」の分析および、その結果発表を中心として研究を進める。平成28年度中に、計10ペアの同意を得て、セッション中の会話を録音した。この音声データのうち約7割については、平成28年度中に文字化済みである。平成29年度は残りの音声データの文字化を行い、分析する。継続的に録音されたセッション中の発言や細かな言葉遣いを分析することで、留学生との英語によるセッションが、英語力の伸長に与えた効果を明らかにし、成果を発表することを目指す。
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