研究実績の概要 |
研究Ⅰで実施した英語教員を対象とした「基本動詞の学習及び指導に関する実態調査」の結果を全国英語教育学会(JASELE)第43回島根研究大会で報告し,学校現場において基本動詞の体系的・継続的指導が十分に行われておらず,それには時間的な制約や,基本動詞の意味論に関する教師の知識不足を含む種々の要因が存在することを論じた。 また,研究Ⅱの日本人英語学習者による基本動詞の習得研究については,基本動詞get, break, speak, talk, say, tell, listen, hear, look, seeを対象とした4つの研究プロジェクトを遂行し,それぞれについて査読付論文及び学会発表で成果を発表した。特に発話動詞と知覚動詞においては,学習者のメタ言語知識(metalinguistic awareness)に着目するアプローチを取り入れ,従来の第二言語語彙習得研究を新たな視点から捉える可能性を示すことができた。いずれの研究においても,日本人英語学習者にとって基本動詞を適切に「使い分けつつ,使い切る」ことが困難であることが示され,基本動詞の核となる意味(コア)及びそれを図式化したコア・イメージを理解することの重要性が明らかとなった。 研究Ⅲの基本動詞のエクササイズ論については,初年度に『英語教育』(大修館)で年間連載を行った内容を発展させた書籍(『コア・イメージで英語感覚を磨く!基本語指導ガイド』:明治図書出版)を刊行し,主に中学・高等学校の英語科教員に対して基本動詞の指導法について情報発信を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,研究Ⅱの習得研究で基本動詞break, make, speak, talk, tell, sayを扱う予定であったが,それらに加えてget, listen, hear, look, seeの習得に関する研究を行うことができた(尚,makeについてはgetに変更)。また,研究Ⅰ及び研究Ⅱの内容を踏まえて最終年度に研究Ⅲのエクササイズ論に取り組む予定であったが,書籍刊行の依頼を受け,予定よりも前倒しのペースで作業を進めることができた。
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