本研究は、大学英語教育における自律学習支援システムの構築を目的とし、作文の個別指導であるライティング・カンファレンス(WrC)での学習メカニズムと支援ストラテジーを解明するものである。具体的には、研究代表者がこれまでにアメリカの大学において収集して来た日本人留学生と大学院生チューターとの間で開かれたWrCの観察データを、混合調査法にて分析し、その分析結果やデータの一部を、日本の大学での第二言語ライティング指導の一環にいかしてきた。また、1対1の談話に慣れていない日本の大学の学生を対象にライティング個別支援の利用を促すため、ワークショップで教材を提案するなど、WrCへの参加や個別支援の意義を明示的に学ぶ機会を提供してきた。 最終年となる2019年度は、これまでのデータ分析を進めると同時に、ライティングの個別支援の活用を促す学習者トレーニングのモジュールを作成し、大学1・2年生の必修英語科目や、大学3・4年生を対象とした卒業論文指導において、実際に使用してみた。また、2020年5月にはハワイ大学にて協力者との打ち合わせで成果報告を行った。4カ年の研究成果を、Asia TEFL International Conference、 第二言語リサーチフォーラム (SLRF)等で発表し、研究の方法論についても紀要等で発表した。2月後半以降の国内外の状況で、本件終了前2020年に予定していた学会発表等が相次いで中止・延期となってしまったが、この間、発表予定であった内容を論文として仕上げ、学術誌に投稿する。本件に関するデータ収集・分析はこれで終わりとなるが、英語ライティングの個別学習支援については今後も研究を継続する予定である。
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