研究課題/領域番号 |
16K16889
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
綱井 勇吾 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (20772487)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 第二言語習得理論 / 日本語教育 / 助数詞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本語のモノの数え方(助数詞)を題材に,第二言語の語の使い分け方に及ぼす母語の影響と学習環境の影響を調べる点にある。また,日本語を第二言語として学ぶ人たちが日本語の助数詞を的確に使い分けるにはどのような学習プロセスを経る必要があるのかを解明する点にある。 研究2年目にあたる2017年度は、日本語を第二言語として学ぶ人たちを対象に、日本語の助数詞がどのくらい獲得されており、どのように使い分けられているのかを調査した。調査には日本の大学で日本語を第二言語して学ぶ中国人留学生(もしくは韓国人留学生)が参加し、コンピュータ画面上でモノを数えるのにもっともよい助数詞を1つ答えてもらった。刺激材料は生物助数詞(人・匹・頭・羽)と形状助数詞(本・枚・個)、そして機能助数詞(台・機・艘)の3つのカテゴリーである。最終的な刺激セットは前年度の調査結果を踏まえて作成した。また、日本語の熟達度レベルを測るために、口頭模倣テストも実施した。 まだ分析を終えているわけではないが、調査の結果、(1)日本語の助数詞を的確に使い分けるのはとても難しく、日本語の熟達度レベルが高い学習者でも日本語母語話者とは異なる使い分けパターンを見せること、(2)すべての助数詞が同じように難しいわけではなく、同じ助数詞カテゴリーのなかでも獲得順序が見られること、(3)日本語の熟達度レベルや日本の滞在年数は日本語助数詞の学習とはあまり関係がないことがわかった。 今後はデータ分析をさらに進め、結果の信憑債を高めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の進度は遅れている。当初の計画では2017年度中に研究課題「日本語助数詞の学習に及ぼす間隔練習と集中練習の効果の検証」に取り組み始めるはずであった。しかし、学内の業務が多忙になり、データ収集を開始するまでには至っていない。また、母語話者データと学習者データを比較したところ、助数詞の使い分けパターンに想定よりも大きな違いが見られたので、実験計画を変更し、その原因を探る予定である。具体的には、日本語話者と日本語学習者がどのような基準で助数詞を使い分けているのか意味素性生成課題(使い分け基準を自由記述で答える)などにより抽出し、比較・検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はまず昨年度に収集したデータの分析をさらに進め、日本語を第二言語として学ぶ人たちがどのように助数詞を使い分けており、どのような用例の学習を難しいと知覚しているのかを明らかにしていく予定である。また、助数詞の運用基準を解明するために、意味素性生成課題(運用基準を自由に記述する)などを実施し、母語話者と学習者による基準の質の違いや、重みづけの違いを検討する準備を進めている。研究成果は国内もしくは国外の学会(J-SLAもしくはSecond Language Research Forum)で発表することを検討しており、論文としてもまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果発表のための旅費に充当する予定である。
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