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2017 年度 実施状況報告書

聞き手の承認反応が第二言語学習に及ぼす効果とその神経基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K16894
研究機関生理学研究所

研究代表者

中川 恵理  生理学研究所, システム脳科学研究領域, 特任助教 (20734940)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードインタラクション / フィードバック / 外国語学習 / 社会的随伴性 / fMRI
研究実績の概要

本研究の目的は他者との相互作用(インタラクション),とくに聞き手が話し手にフィードバックを返すことが第二言語運用能力の強化にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることである。学習者が言語産出に対するフィードバックを受けたとき,それがどのように脳内で処理されるのかを明らかにすることは,効果的な指導法の提案につながるという点で重要である。また,自己の行動に対する随伴性に関わる神経基盤という社会神経科学的な面においても意義のある研究である。
具体的には,未知語を音読した後に聞き手から返される異なる種類のフィードバックに対して話し手はどのように反応するかを,行動実験および機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた神経科学実験により検討する。当初は「聞き手」が人の場合とコンピュータの場合を比較する計画であったが,「話し手」が自分かコンピュータかを比較する実験に変更した。これにより聞き手の反応が「他人ではなく自分の行動」に随伴していた場合とそうでない場合を比較することが可能となった。平成29年度の主な研究成果は以下の通りである。
(1)平成28年度末に,聞き手から受けたフィードバックの種類(承認,拒否,無反応)によって話し手が感じる嬉しさの神経基盤を調査するためfMRI実験を行った。この際取得した26名のデータ解析を行ったところ,統計的に有意な脳活動を描出するには被験者数が不足しているとの結論に至ったため,平成29年度に追加実験を行い7名分のデータを取得した。(2)合計33名の実験データの解析を行った。その結果,フィードバック後の気分評定値は無反応条件に比べて承認条件のほうが有意に高い(=嬉しい)こと,拒否条件のほうが有意に低いこと,話し手が自分である場合のほうがコンピュータである場合よりもこの効果が大きいことが明らかになった。この行動データに合わせてfMRIデータの解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

一般的な脳機能マッピングのほかに,脳領域間の活動の相関や因果関係の変化を検出する解析手法など,様々な方法を試行錯誤しながらデータの解析を進めていたため,当初の予定よりも遅れが生じている。また,平成29年度中に追加で取得したデータの質があまりよくなく,実験結果が確定しなかったことも遅れの原因となっている。平成30年度中にはさらに追加でデータを取得するか,別の方法で解析する等の対応をとる。

今後の研究の推進方策

平成28,29年度に取得した実験データにおいて未解析のものがあるためこれに取り組む。
平成30年度は本実験のデータを解析して得られた成果を論文にまとめ,学術雑誌への投稿を行う。

次年度使用額が生じた理由

計画段階では二つの実験を実施する予定でいたが,実験デザインを当初の計画とは異なるものにしたため,二つ目の実験を実施しなかった。二つ目の実験参加者用に計上していた謝金を使用しなかったので,次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Neural underpinning of social feedback contingent on own performances2018

    • 著者名/発表者名
      Motofumi Sumiya, Eri Nakagawa, Takahiko Koike, and Norihiro Sadato
    • 学会等名
      24th Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mapping
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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