本研究では、近代日本の政党政治と大蔵省の関係を、主に世界恐慌後の東アジア国際秩序をめぐるイギリス帝国およびアメリカ合衆国との対立と協調に注目しつつ、再検討した。研究期間内には、とくに日英米三ヶ国における経済政策や国際金融についての史料調査に重点を置き、2年間の在外研究も利用して多くの一次史料を集中的に収集した。これらをもとに、朝鮮銀行バンカーの政治意識、戦時期の国際秩序構想、戦後復興期の北海道開発、について検討を加え、論文や書評として成果を発表した。 また、戦後政治史学の嚆矢となった岡義武『明治政治史』の解説を執筆し、戦前日本政治の破綻要因をめぐる歴史叙述について思想史的に検討した。
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