研究課題/領域番号 |
16K16902
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 真 東京大学, 史料編纂所, 助教 (50634036)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本史 / 交流史 / 対外関係史 / 遣明船 / 倭寇 / 南蛮貿易 / 朱印船 |
研究実績の概要 |
今年度は、貿易面における遣明船貿易から倭寇貿易・南蛮貿易・朱印船貿易への連続性の、実証的検討に重点を置いた。特に、遣明船貿易と倭寇貿易の両面を持つと考えられる、16世紀半ばに明から到来した使節に呼応する形で派遣された、大友氏や大内氏の遣明船について、詳細を究明した。また、これまであまり言及されることのなかった、京都商人の、遣明船貿易・倭寇貿易・南蛮貿易への参加実態を探った。 本研究課題により遂行した具体的な活動は、4件の調査、2件の研究会参加および報告、1点の活字媒体を用いた成果公表である。まず4月には、石川武美記念図書館において、遣明船貿易と倭寇貿易の両面を持つ16世紀半ばの遣明船に搭乗したとされる、禅僧に関する史料を調査した。5月には、京都大学で開催された、代表者も分担執筆した『日明関係史研究入門』(村井章介ほか編、勉誠出版、2015年)の合評会に参加し、他の研究者との意見交換を通じて、本研究の遂行に必要な情報を収集した。7月には、国際基督教大学で開催された、日本アジア研究学会(Asian Studies Conference Japan, ASCJ)第19回大会に参加し、「Transformation of diplomacy and trade in Japan during the 16-17th century」と題した報告を実施して、本研究の構想の一部を披瀝した。8月および1月には、京都において、遣明船およびそれに搭乗した貿易商人にかかわる調査を実施した。3月には、イタリア国立ローマ中央図書館において、南蛮貿易・朱印船貿易にかかわる、豊臣秀吉とスペイン領ルソンにいたフィリピン総督とのあいだで交わされた外交文書の写本を調査した。また、遣明船研究の基礎史料に関する『天龍寺妙智院所蔵「入明略記」』(『東京大学史料編纂所研究紀要』27、2017年、共著)を公表した。その他、上記の調査等による成果は、学会報告や学会誌投稿を通じて、次年度以降に適宜公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料調査先の一部に変更はあったものの、「研究実績の概要」の項に記した活動は、おおむね当初の研究計画通りである。初年度であったため公表できた成果は多くないが、成果の一部を学会の口頭報告により披瀝しただけでなく、現在成稿もすすめている。これらの状況から、上記区分に該当すると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って推進する。ただし、当初予定していた調査対象史料のなかには、写真版の入手が可能であることが、研究遂行の過程で判明したものもある。そうしたものについては、まず写真版を閲覧のうえ、必要に応じて現地調査を実施するかどうか検討したい。また、新たに調査の必要な史料が見出されるなど、計画の修正が生じた場合には、研究がより効率的に推進できるように、当初の計画を見直すことも視野に入れている。 なお、「研究実績の概要」の項においても述べたように、本研究実施による成果は、研究会報告や学会誌投稿を通じて、適宜公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書購入費用について、学会割引等を利用した結果、当初の予定より安価で済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
極めて少額であるため、次年度の物品費への充当を予定している。
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