今年度は、最終年度にあたるため、これまでの研究を総括する年度に位置づけていた。そのため、当初の予定では史料調査の計画はなかったが、研究成果公表の準備をすすめる上で必要が生じたため、大阪、京都、滋賀において調査を実施した。 また、前年度の実績報告書にも記載した通り、2016年の交付申請の段階では、隣接諸分野の研究者と共同でパネルを組み、海外の学会で本研究の成果を示すことを構想していたが、見込んでいた研究者との折り合いがつかなかったため、断念した。一方で、日本史研究会大会において個別報告をおこなう機会を得たため、これを本研究の成果公表の場とすることとした。その準備報告を同研究会中世史部会にいて1度実施して大会に備えたが、台風による悪天候のために、大会報告は中止となった。そこで、代替として同研究会中世史・近世史合同部会において報告を実施した。また、その内容は『日本史研究』の大会特集号に掲載された。これは遣明船貿易から南蛮貿易・朱印船貿易への展開を検討したもので、本研究において2018年に実施した研究報告を土台に、その後の調査・研究により得た知見を加えてまとめあげたものである。これにより、本研究の検討課題である、日本中近世移行期の対外関係における連続面や、その過程で生じた変容について、特筆すべき成果を示すことができた。その他、本研究遂行の過程で検討した、遣明船研究の基礎史料に関する史料紹介を1点と、過去に本研究において実施した史料調査の経験を、学界へ還元することを企図した小稿1点を公表した。これらの成果の詳細は、別掲の通りである。
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