研究課題/領域番号 |
16K16904
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
萩原 淳 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (50757565)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 司法省 / 検察 / 司法権 / 司法官僚 / 弁護士 / 平沼騏一郎 / 鈴木喜三郎 |
研究実績の概要 |
本年度は主に主に三つの点から研究を進めた。 まず、「平沼・鈴木閥」の動向に関する史料収集と分析を行った。具体的には、国立国会図書館憲政資料室、亜細亜大学太田耕造記念館、日本大学総合学術情報センターなどを訪問し、調査を進めた。そして、その成果をもとに、平沼騏一郎がいかにして司法部内に、「平沼・鈴木閥」を形成し、その後、平沼・鈴木が司法部を離れた後も、いかなる形で司法部に対し、政治的影響力を保つことができたのか、という点を解明し、論文を作成した。当初、学術雑誌の査読に出す予定だったが、京都大学学術出版会から、単著『平沼騏一郎と近代日本:官僚の国家主義と太平洋戦争への道』の出版が決まったため、その第Ⅱ部第1章に入れることにした(なお、『平沼騏一郎と近代日本』は2016年12月に刊行された)。また、単著の構想報告を「二〇世紀と日本」研究会、近代日本政治史研究会(大東文化大学国際比較政治研究所との共同開催)で報告した。 次に、憲法など法に関する審査機関である枢密院における平沼の動向を分析し、その成果を日本政治学会研究大会で報告した。 さらに、2016年夏、有力な弁護士出身の代議士鵜澤総明の文書が千葉県文書館に所蔵されていることを知り、遺族の承諾を得て、調査した。その結果、冊子複製版で30冊ほどある膨大な史料であることを発見した。そのため、急きょ、再度調査する必要が生じたため、前倒し請求を行い、2017年3月に再度調査を行い、昭和初期の日記などについてはコピーを終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、初年度においては、「平沼・鈴木閥」を形成過程・展開過程を分析する予定だったが、その作業が予想以上に進展し、論文を作成することができ、かつそれを単著の中に組みこみ、平沼騏一郎論としても、総合的に位置づけることができた。また、それに加えて、枢密院、弁護士の動向についても、既に調査を開始し、一定の成果を挙げることができたためである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、研究計画に沿って、研究を進めていく。とりわけ、2017年2月に国立国会図書館憲政資料室において、大審院検事などを務めた太田耐造の関係文書が公開されたので、同文書を入念に調査する予定である。同文書は1000点以上に及び執務に関する史料であり、史料の残存状況の良くない司法省・検察において重要な位置を占めるものと推測される。
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