研究課題/領域番号 |
16K16907
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
八木 直樹 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (00526684)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 戦国大名 / 守護 / 大友氏 / 室町幕府 / 朝廷 / 官位 / 戦国期九州 / 権威 |
研究実績の概要 |
本研究は、守護を出自とする戦国大名である豊後大友氏を対象に、大友氏が幕府・朝廷から獲得した守護職・官位に着目し、「権力」の面と「権威」の面からその獲得効果を検討することにより、戦国大名と室町幕府・朝廷との関係について明らかにすることを目的としている。 研究初年度である本年度においては、まず戦国大名と室町幕府・朝廷に関係する先行研究の確認を行った。具体的には、戦国大名に関する基本論文集である『戦国大名論集』全18巻(吉川弘文館)を購入し、様々な戦国大名の研究成果について学んだ。 次に、本年度、最も重点的に行ったのが、室町幕府、朝廷、公家、京都の寺社などの史料から大友氏に関係する史料を収集する基礎作業である。研究費にて購入した『言継卿記』、『蜷川家文書』、『兼見卿記』をはじめとする幕府・朝廷関係者の日記類や、『戦国遺文 三好氏編』、『豊臣秀吉文書集』などの京都周辺の武家勢力に関する史料集、また近年刊行された『戦国遺文 大内氏編』、『山口市史中世編』、『飯塚市史』などの大友領国とその周辺大名に関する史料集・自治体史から関係史料を収集した。さらに、所属機関が所蔵している『満済准后日記』、『看聞日記』、『大館常興日記』、『御湯殿上日記』などの室町・戦国時代の主要な日記類からの史料収集を行い、データベースを作成した。 また、史料調査用にノートパソコンを購入し、東京の国立国会図書館における文献収集調査を1回、東京大学史料編纂所において大友氏関係の写真帳・影写本閲覧による史料収集調査を2回行った。 本年度は、主に室町幕府・朝廷側の史料から大友氏関係の史料収集作業を行ったが、この作業に並行して次年度には大友氏側の史料から室町幕府・朝廷関係史料を収集し、史料の分析を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に主に行う予定であったのは、室町幕府関係者、朝廷関係者が記した日記類から、大友氏関係の史料を収集する基礎作業である。新規に研究費で購入した史料集からの史料収集作業は順調に進み、データベースを作成することができた。次年度に作業を行う史料集のリストアップも行った。所属機関に所蔵されていた史料集も合わせれば、室町・戦国時代に関係する主要な刊本史料集からの史料収集作業はおおむね目途がついたといえる。 また、東京大学史料編纂所における史料調査は、予想以上に刊本史料集に未収録の大友氏関係文書を発見することができ、当所1回の予定であった調査を2回行うほど成果を挙げることができた。 以上のように、現在のところ予定していた史料収集作業は計画通りに進んでいることにより、本研究は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も、室町幕府・朝廷関係史料から大友氏に関する史料を収集する基礎作業を継続して行う。まずは本年度に購入できなかった京都関係の日記類の史料集を購入し、史料を収集する。また、戦国期室町幕府・朝廷を支えた三好氏・六角氏・織田信長など、京都に影響力をもった大名の史料にも収集対象を拡大していきたい。 本年度に行ったのは、幕府・朝廷側の史料にみえる大友氏関係史料の収集作業である。次年度には、大友氏の家文書である「大友文書」「大友家文書」を中心とした大友氏側の史料の中から、室町幕府・朝廷関係の史料を収集していく。 史料調査としては、本年度には全国の古文書の写真帳・影写本を所蔵する東京大学史料編纂所において、刊本史料集に未収録の未活字史料の発見を主目的とした史料調査を行った。それに加えて、次年度は、刊本史料集に収録されている史料を写真帳等で確認する作業も並行して行うために、同所における史料調査を複数回行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、第一に業務多忙により年度末に予定していた史料調査を見送ったこと、第二に年度末に取り寄せた文献複写料・取寄料の請求が次年度分の請求になったことによるものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、史料調査の旅費の一部と今年度使用分の文献複写料代に使用したい。
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