本研究は、琉球国王の王位継承儀礼の最終段階である「冠船」(冊封)の意義と役割を明らかにし、そこから琉球王権の実態を解明することを目的としておこなった。本研究では、冊封の事前準備と中国側との交渉、儀礼・宴会の運営、冊封をめぐる下級役人や職人の動向などの研究を実施した。 本研究で得られた主な成果は、冊封の捉え方について示した点にある。すなわち、冊封時の諸儀礼分析などを通して、かならずしも清朝中国との関係だけで冊封は完結しておらず、薩摩藩との関係も含めて展開したのが琉球国王の冊封であったことを指摘した。琉球の冊封は、中国・日本との外交関係を前提としておこなわれた琉球国王の即位儀礼であったと言える。
|