研究課題/領域番号 |
16K16910
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
竹井 英文 東北学院大学, 文学部, 准教授 (50737187)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 青森県の中世城館 / 岩手県の中世城館 / 城郭研究 / 東北中世史 / 東北近世史 / 中世考古学 / 津軽氏 / 南部氏 |
研究実績の概要 |
本研究は、東北地方における中世城館関係の文献史料を悉皆的に収集・公開することを第一の目的とするものである。近年の城郭研究の進展具合には目覚ましいものがあるが、東北地方に関しては相対的に遅れているといわざるをえない。研究をするうえでの大前提である基礎資料の収集・公開が著しく遅れていることが何よりも問題であると考えている。そのため、本研究ではまず、各種史料集を中心に、東北地方の中世城館関係の文献史料を収集し、県別に整理をする。そして、そのデータを広く公表することによって、城郭研究を中心に中世史・近世史・地域史の学界に広く貢献しようと考えている。 その研究計画にそくして、本年度は昨年度に引き続き青森県・岩手県・秋田県の史料収集と、山形県、宮城県の史料収集も進めた。青森県は『青森県史』、秋田県は『秋田県史』『横手市史』『本荘市史』、岩手県は『岩手県中世文書』『岩手県戦国期文書』、山形県は『山形県史』『米沢市史』、宮城県は『宮城県史』『仙台市史』『古川市史』などの各市町村の自治体史資料編・通史編、各種史料集を利用して、城館が登場する文献史料をピックアップし、その一部は城館名、所在地、年月日、文書名 、所収史料名、内容、出典の各項目についてエクセルにデータ入力を行った。 これらに基づき、本年度は「東北地方における中世城館関係史料集成-青森県・岩手県編」(『東北学院大学論集 歴史と文化』第57号(2018年3月)を発表することができた。来年度は、少なくとも秋田県・山形県分について、同様に発表する予定である。 このほか、『シリーズ織豊大名の研究6 最上義光』の編纂を行ったことにより、多数の山形県・秋田県の城館関係論文・史料に目を通し、その成果の一部を序章として公表できたことも大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、『青森県史』による収集史料が東北六県にわたり、数も予想以上に増えたことからデータベースが未完成となってしまい、研究成果の公表ができなかった。しかし、本年度は、青森県・岩手県分の中世城館関係史料集成を発表することができた。このことが何よりも大きな成果である。これにより、両県中世城館関係史料のうち、古文書に掲載されている城館についてはほぼ網羅できたと思われる。古記録・編纂物については、その数が膨大になるため、今後も継続して収集したい。また、古文書についても誤解・遺漏があると思われるので、今後補遺編として随時発表していきたいと考えている。 その他の4県分については、秋田県や山形県、宮城県分を進めているものの、データベースは未完成であり、来年度に持ち越しとなった。福島県分も一部進めているが、本格的な調査はこれからである。 以上の状況から、当初の計画からはやや遅れているものの、全体的には順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実績を踏まえて、次年度以降は、次のように研究を遂行していこうと考えている。 まず、本年度完了することができなかった、残りの秋田県・山形県・宮城県・福島県分の中世城館関係文献史料の収集を終わらせ、データベースを完成させることである。なかでも秋田県・山形県分については、昨年度以来の作業によって、ある程度収集できていると考えているので、十分可能であると見通している。そのデータベースに基づき、各地の図書館・博物館に出向き、できる限り写真や原本を確認する作業も行いたい。この秋田県・山形県分については、本年度と同様、来年度の本学の紀要『東北学院大学論集 歴史と文化』に掲載し、広く公表することを目指したい。 次に、宮城県分については、『宮城県史』『仙台市史』『古川市史』については収集がほぼ終了しているが、その他の自治体史をさらにチェックする必要がある。福島県分についても同様で、『福島県史』については収集がほぼ終了しているが、未だチェックしていない自治体史が多数ある。この2県は伊達氏関係の史料が多く、史料数が激増するため、来年度内のデータベース完成は難しいと予想しているが、できる限りの作業を行いたい。
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