研究課題/領域番号 |
16K16919
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研究機関 | 福岡県立アジア文化交流センター |
研究代表者 |
一瀬 智 福岡県立アジア文化交流センター, その他部局等, 研究員(移行) (20543698)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域産業 / 陶磁器 / 流通 / 陶石 |
研究実績の概要 |
本研究は、江戸時代「鎖国」制度下における国内の地域産業と対外交流との関係、対外交流が産業を通じて地域の社会・経済に及ぼした影響等について明らかにすることを目的とする。 平成28年度には、計画していた基礎的な調査と史料収集を進めることができたほか、九州国立博物館における展覧会及び図録において、成果の一部を公開することができた。 訪問した主な調査先は、国立公文書館、東京国立博物館、長崎歴史文化博物館、出島阿蘭陀商館跡、上ノ国館調査整備センター、松前町郷土資料館などである。調査では、肥前地域や天草地方における陶磁器・陶石生産や流通を研究する上で重要な情報を持つ歴史資料や、江戸時代に実際に流通して各地にもたらされた陶磁器の伝世資料・出土資料について実見し、29年度以降の研究に向けた基礎的なデータを収集することができた。 また9月14日~11月6日に九州国立博物館において開催したトピック展示「有田焼創業400年記念 古伊万里 旧家の暮らしを彩った器」では、展覧会及び図録において、江戸時代における伊万里焼(肥前陶磁)の流通について紹介し、小論「江戸時代の海運と伊万里焼の流通」を発表した。その展示構成や論考の組み立てにあたっては、本研究を念頭に、輸入原料(上絵薬等)を用いるなど対外交流と深く関わり、また天草の陶石も使用して生産された肥前陶磁が、どのように日本列島各地に流通したのか、という観点から調査や考察に努めた。本研究で主たる対象とする製陶業や天草の陶石採掘産業と、全国的に展開した陶磁器流通との関係について研究を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度においては、近世の長崎貿易や天草地域についての基礎資料をはじめ、肥前地域や天草地方における陶磁器・陶石生産や流通に係る歴史資料、江戸時代に実際に流通して各地にもたらされた陶磁器の伝世資料・出土資料について資料収集し、29年度以降の研究に向けた基礎的なデータを収集することができた。 また展覧会や図録においては、本研究で主たる対象とする製陶業や天草の陶石採掘産業と、全国的に展開した陶磁器流通との関係について研究を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
29年度には、幕府領天草の支配関係史料を中心に調査・収集を実施する。最終年度の30 年度には、調査・収集・整理した史料から本研究の結論発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
勤務機関や近隣の機関において基礎資料の収集を進めることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究フィールドである天草地域を中心に、資料の調査・収集を実施する。
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