研究課題
若手研究(B)
古文書の伝来論的研究とは、過去の特定の時代において、文書がいかに生産・伝達・保管・廃棄・再利用され、それがいかなる意図・理念のもとに行われたかを明らかにするものである。本研究では、朝鮮中近世における古文書の伝来論的研究の一環として、朝鮮時代(14~19世紀)の官撰史料・行政指針書・文集・日記・目録などの各種史料から、文書の伝来に関するデータを抽出・整理し、その内容を分析した。そして、その成果に基づき、朝鮮時代における文書に対する認識・処遇の様相や廃棄・再利用の実態を解明した。
朝鮮史学
従来の朝鮮時代の古文書研究においては、文書の内容や様式に関する検討が活発な一方、古文書の伝来論的研究はほとんど行われてこなかった。しかし、伝来論的研究は、個々の古文書の性格を明らかにする上で極めて重要な意味をもっている。本研究では、朝鮮時代における文書の伝来の実態解明に初めて本格的に取り組んだものである。本研究の成果は、日本・中国・ベトナムなど、<東アジア各国の文書伝来の比較研究>という新たな研究の途を拓くものと考えられる。