研究課題/領域番号 |
16K16936
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
高田 良太 駒澤大学, 文学部, 准教授 (80632067)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヴェネツィア / ビザンツ / 領事職 / コンスタンティノープル |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究実績について、資料調査・分析作業・研究の進展への対策の3点について述べる。 まず、資料調査について, 本年度は当初予定していたギリシャでの文献調査を行うことができなかった。それは、本研究者が担当する別の科研費において急遽、ギリシャでの8月の調査を行うことになったためである。調査内容に重複が生じることになったため、イタリアでの資料調査に変更することとした。3月にイタリアのヴェネツィアにおいて、主として国立公文書館での文書調査を行い、ヴェネツィアとビザンツとのあいだの外交関係が分かる史料の収集を行った。 続いて、分析作業については、本科研費に基づく研究以前に収集した資料の分析作業を行った。主として、タフェルとトマスによって公刊されたヴェネツィアの外交資料集や、マルテズのヴェネツィアとビザンツの外交に関する研究書の巻末に添付された一次史料の分析を進めた。タフェルとトマスの外交資料は、ニコルによって利用され、ヴェネツィアとビザンツの外交史の沿革がまとめられた。その一方で、マルテズの研究はコンスタンティノープルのヴェネツィア人バイロ(領事)をめぐる制度史的なモノグラフである。この二つの研究のあいだの溝を埋めるため、本年は、13世紀末にヴェネツィアとビザンツの外交関係が改善されるのにあわせて、バイロ職が設置されたことに着目して、その経緯について外交史的アプローチと制度的アプローチを総合することを試みた。 最期に、研究を円滑に進めるために、8月に奈良女子大学で開催された中近世イタリア史研究会において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料調査について当初のギリシャが日程上の理由が難しくなり、ヴェネツィアに変更したことから、当初の研究計画に変更が生じてしまった。しかし、変更したヴェネツィアにおいての史料調査は順調に推移したことから、翌年度以降の分析作業を円滑に進めていくことができる。また、分析作業については、ほぼ予定していたとおりの史料分析を追えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
一次資料の収集と分析が進んでいる一方で、最新の研究の水準がどこにあるのかの把握が遅れていることは否めない。やはり、資料収集という点では、本年は実施できなかったギリシャでの文献資料収集を実現させることが次年度に向けた課題となる。 また、成果の公開も重要であり、次年度以降は、研究会・学会での積極的な発表を行う必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
主として、旅費の精算が未処理でることが大きい。3月の国外出張の経費をクレジットカードで決済したことで、旅費の精算を次年度以降に持ち越さなければならなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
3月度の旅費の精算を速やかに実行する。
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