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2017 年度 実施状況報告書

コンスタンティノープルのヴェネツィア人に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K16936
研究機関駒澤大学

研究代表者

高田 良太  駒澤大学, 文学部, 准教授 (80632067)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードヴェネツィア / ビザンツ / コンスタンティノープル / バイロ
研究実績の概要

平成29年度の研究実績について、資料調査・資料分析・成果発表の3点について述べる。
まず、資料調査に関しては、CPに設置されたバイロ職の果たした役割を探るために、3月18日から23日にかけて、ヴェネツィア国立文書館にて史料調査を行い、14・15世紀のヴェネツィアとビザンツの関係に関する未公刊の文書を実見することができた。
次に、資料分析について述べる。本年度は主として、公刊史料の分析作業を行った。とりわけ、マルテズが翻刻した13-15世紀のバイロに関する、ヴェネツィア本国の史料を中心に読解と整理を進めていった。その結果として、ヴェネツィアとビザンツの外交関係の転機となるような出来事、例えばヴェネツィアとビザンツが紛争状態に陥った13世紀末から14世紀初頭にかけての状況を回復するために派遣されたバイロが、その後のバイロ常駐化の先駆と見なせることや、ビザンツが内戦状態に陥りかつオスマン・トルコのビザンツ内への影響力が強まる14世紀中葉以降には、ヴェネツィアも盛んにバイロを派遣して、外交面での影響力を維持しようとしていることが分かった。以上からは、バイロの制度的発展がヴェネツィアとビザンツの外交関係の変化と密接に関係していることが窺える。
最期に、成果発表について述べる。12月9日に東北学院大学において開催されたシンポジウム「中近世の東地中海世界における諸民族の混交」において、「コンスタンティノープルのヴェネツィア人- バイロの設置をめぐって-」と題する報告を行い、主として13世紀末のバイロ設置開始にからんで、ヴェネツィアとビザンツが居留地を介した外交を本格化させていった要因と、実際のプロセスについて言及した。本年度におこなった研究の成果の一部を公にした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず、資料収集という点においては、予想以上の進展をみた。ヴェネツィアの国立文書館に所蔵されている史料のなかには、本研究テーマに関する未公刊の史料が多く所蔵されており、研究史の点からも十分に分析されていないことも分かった。
他方で、今までに収集していた資料および、本年度に新しくその所在を確かめた資料について、十分に時間をとって読解および分析を進めることができなかった。この点については、次年度に向けた大きな課題となる。
最期に、成果報告については、本年度においては当初予定していなかったが、概要でも述べたとおり、本研究と密接に関連するテーマでのシンポジウムの話者としての依頼があり、そのための準備を進め、報告を行った。既存の分析作業にて判明したバイロ設置の経緯に関する話題を中心に報告したが、質疑応答などから、今後の研究の進展につながる重要な示唆を得ることもできたため、よい機会となった。

今後の研究の推進方策

資料収集という点については、これまではヴェネツィアの国立文書館に保存されているイタリア語やラテン語の史料に偏っていた。これからは、ギリシア語で書かれた年代記などビザンツ側の史料について調査していく必要がある。
また、史料の分析はやや遅れがみられるため、研究時間を確保して進めていきたい。とりわけ、14世紀に入った段階で、バイロがどのような職務を負っており、それが14世紀を通じてどのように変わっていくのか、という点について理解を深めていく必要がある。
以上のような分析作業の結果を、公表していくための作業も、本年度は鋭意進めていく。口頭発表を準備するほか、最終年度の報告書作成に向けた準備を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

3月18日から23日にかけて行ったヴェネツィア国立文書館での調査について、精算が年度内には間に合わないために、次年度に精算することにした。この海外調査の旅費を精算すれば、おおむね当初予算どおりとなる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 第2報告 コンスタンティノープルのヴェネツィア人- バイロの設置をめぐって-2017

    • 著者名/発表者名
      高田良太
    • 学会等名
      ヨーロッパ文化総合研究所公開講演会・中近世の東地中海世界における諸民族の混交
    • 招待講演
  • [備考] 駒澤大学教員情報高田良太

    • URL

      https://gyoseki-komazawa-u.jp/kzuhp/KgApp?kyoinId=ymddgegyggo

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公開日: 2018-12-17  

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