日本国内では長きに渡り手つかずであった戦間期のイギリス共産党に関する史料を網羅的に収集し、研究の成果を公刊し始めたことは大きな学術的・社会的意義をもつ。また、英語圏においても、ソ連・イギリス共産党関係史は、党幹部レベルにおける相互関係に着目したものが主流であるが、一般党員レベルの視座から、コミュニズムがどのように受容されたのかを実証的にアプローチすることで、新しい研究の可能性を拓いた。また、幹部レベルにおいても、非公式な空間における交流を通じたコミュニスト・アイデンティティの強化についての議論を、国際的な場で研究報告した学術的な意義は大きい。
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