研究課題/領域番号 |
16K16938
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 建治 北海道大学, 文学研究科, 共同研究員 (00580929)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 千島アイヌ / 露米会社 |
研究実績の概要 |
(1)ロシア・サンクト・ペテルブルク市人類学民族学博物館(クンストカーメラ)所蔵の19世紀前半以前の千島アイヌ民具資料の調査: 18世紀後半まで遡る可能性のある資料を含む、19世紀前半以前の千島アイヌ民具資料9点を調査した。資料は、衣服3点、舟模型3点、小刀の鞘3点となる。調査した資料の中で、最古級に属する衣服については、その入手経緯や年代に関する文献が存在する可能性があることを、所蔵館のアンドレイ・ソコロフ上級研究員から情報提供を受けた。日本国内で知られている千島アイヌ民具資料(鳥居龍蔵収集資料など)より古い資料となるクンストカーメラ資料を詳細に検討することで、19世紀後半以降に属する国内資料とそれ以前(露米会社の千島進出時期)の海外資料にみられる差異性あるいは類似性が見えてくると考えられる。 (2)北千島出土の内耳土器の炭素・窒素安定同位体分析による古食性復元作業: 旧アイヌ民族博物館所蔵の占守島出土の内耳土器1点について、炭素・窒素安定同位体分析による古食性復元作業を実施した。海産物中心の食生活が知られている千島アイヌではあるが、その実態について、日常的に使用している煮炊き具である内耳土器を対象とし調査を行った。今回の調査結果では、想定通り、海産物由来が強いことがわかった。今後継続的に分析することで、文献史料等で記載されている情報とあわせて、その傾向性が科学的につかめると期待する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の研究計画では、継続的に計画していた、国内外の考古学資料の実見調査が集中的に実施できなかったため、特に「千島列島出土のロシア製品の分類と編年作業」がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、やや遅れている千島列島出土のロシア製品の分類と編年作業を進めるべく、国内資料に焦点を絞り、実見調査を進めていく。昨年度、国内にも膨大な北千島出土資料のコレクションが存在することが判明した。所蔵館の理解を得て、実見調査を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、計画していた国内外の調査等が実施できなかったためです。使用計画としては、国内調査を中心に実施し、また調査で得られたサンプルの分析を行う。
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