研究課題
若手研究(B)
本研究では、平城宮・京跡から日々出土する人為的な加工が残る木材や樹皮などの植物質遺物を体系的に整理し、考古学的検討に取り組んだ。特に、多量に出土する木屑や木端等の木材加工残滓を対象とし、出土資料の分類及び細部観察の調査を実施した。木材加工残滓から平城宮・京における木工活動の一端を明らかにするとともに、平城宮・京における木材利用のサイクルを考えるにあたり有用な成果を得た。
考古学
都城から出土する有機質遺物は、その資料的制約から十分に研究対象とされてきたとはいえない。それらの資料に焦点を絞り、それらの詳細な観察、計測、実測、樹種同定という考古学的検討を通して木工活動の一端を明らかにした点は、基礎研究の第一歩として大きな成果であるといえる。また、収蔵されたままの資料を見出し、検討を加え、学術的意義を付した上で公に提示することができた点で大きな社会的意義があるといえる。