研究課題/領域番号 |
16K16953
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
前田 洋介 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10646699)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | コミュニティ / ガバナンス / 自治体内分権 / 日英比較 |
研究実績の概要 |
本研究は,自治体内分権制度に代表される,自治体内の部分地域において意思決定や議論を行う制度である公的なコミュニティ・ガバナンスについて,日英の事例をもとに比較検討するものである.本年度は主として,昨年度までに収集したデータをもとに,本研究課題の最終目標である,「多様なコミュニティ・ガバナンスの実践を捉えるための分析枠組みの提示」のために日英の事例について比較分析・考察を行った.その結果,結論の一部として,各自治体におけるコミュニティ・ガバナンスの制度の特徴を捉えるには,①こうした制度が相互扶助や地域文化の継承といったコミュニティの諸機能の維持・充実に力点を置いているのか,もしくはコミュニティへの権限移譲や住民参加の促進に力点を置いているのかという点や,②自治体の部分地域に設置されるガバナンスが,どのような地理的範囲(学区・旧市町村・選挙区等)に基づいているかという点が,重要な分類基準となることを導出できた.また,地理的範囲の設定は,ガバナンスの実行力や権限とも結びつく重要な点であることも示唆された.この点や,①と②との関係については,日本と異なり,選挙区を単位にガバナンスを設置する事例が多いイギリスでの補足調査をもとに考察を深める予定であったが,新型コロナ・ウィルスの関係で調査が延期となったため,翌年度に検討することとなった.なお,日本の事例をもとにした成果を,一部,Maeda, Y. in press. Development of intra-municipality decentralisation systems in Japan及びMaeda, Y. in press. Changing community governance in the coastal fishing regionsとして,それぞれ翌年度刊行予定の別の学術書向けの論文にまとめることができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」に記したように,本年度は,本研究の最終目標である「多様なコミュニティ・ガバナンスの実践を捉えるための分析枠組みの提示」の検討し,結論の一部を導出することができた.また,成果の一部として,翌年度刊行予定の2冊の学術書向けにそれぞれ1本の論文をまとめることができた.以上のように期間の途中までは当初の予定通り,順調に研究を進めることができた.しかし,本年度に実施予定であったイギリスでの補足調査を,当初の予定より遅い春休み期間(2月~3月)にスケジュールすることとなった結果,新型コロナ・ウィルスの関係で,調査の性質上,調査を延期することとなり,同調査とそれをもとにした考察が実施できず,研究期間内に研究を終えることができなかったため,「(4)遅れている」と自己評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,本研究の目標である「多様なコミュニティ・ガバナンスの実践を捉えるための分析枠組みの提示」に関する最終的な結論を導出するために,本年度実施できなかった,イギリスでのコミュニティ・ガバナンスに関する補足調査を実施し,その結果を踏まえた考察を実施する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」及び「現在までの進捗状況」に記したように,本年度に実施予定であったイギリスでの補足調査を,当初の予定より遅い春休み期間(2月~3月)にスケジュールすることとなった結果,聞き取りや住民集会への参加を伴うという調査の性質上,新型コロナウィルスの流行により不十分な調査になることが懸念され,同調査を延期することとなり,現地調査のための経費分が未使用となったため.
|