本研究の目的は構造転換期の中国における経済構造の再編に伴う労働力移動のメカニズムと空間構造を捉えることである。2000年代以降中国の省間流動人口は経済的要因による移動がより顕著となり、東部地域へのさらなる集中をもたらした。また、東部地域内部においては労働力の争奪が発生し、内陸地域からの労働力転出は南部の珠江デルタから東部の長江デルタへシフトする傾向が観察された。一方、内陸地域の一部の省は都市経済の発展により労働力の東部地域への流出を抑制されたことも判明した。さらに、製造業企業の空間的拡大および農村地域における商業農業の発展は新たな就業機会を創出し、農村労働力の移動性に一定の影響を与えた。
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