本研究の目的は、グローバル化の進展によって日本の農業や食を取り巻く環境がダイナミックに変化している中で、食の安全・安心の確保を図るために、ブランド化を積極的に推進している農産物産地を事例に、生産、加工、流通に関わる各主体によるバリューチェーンの構築を明らかにした。農産物産地は、産地の立地、生産する農産物の商品的性格と生産規模などに応じて、多様な販売チャネルの中から多様な取引・分業体制を構築していた。その中でも農産物やその加工品のブランド化戦略は、品質だけではなく、産地の銘柄、歴史や文化、自然、エピソード、認証評価が価値に大きく関与していることが明らかになった。
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