研究課題/領域番号 |
16K16961
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
塚原 伸治 茨城大学, 人文学部, 准教授 (30735569)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 商店街 / 民俗学 / エスノグラフィ / 中小企業 |
研究実績の概要 |
8月~9月を利用して、歴史的背景の異なる2つの地方都市(千葉県香取市佐原、福岡県柳川市)の旧中心市街地において実地調査を実施した。校務の関係で、2月~3月に予定されていた長期調査を実施することが困難となったため、調査地を福岡県柳川市を中心にすえ、千葉県香取市については予備的調査と位置付けることとなった。 (商店街の誕生に関する研究)柳川(当時は柳河)において、商店街が誕生した大正末から昭和初期の時期において、2つの地域における商業がどのような事情にあったのか、そして、どのような経緯で商店街組織が誕生するに至ったのかを、『柳河(川)新報』(明治36(1903)年発刊)を中心に、明らかにした。特に、商店街の成立を断絶として見なす立場を批判的に検討し、既存の商店主たちがいくつかの出来事をきっかけに連帯し、まとまっていくことで商店街が成立したという視点を提示することができた。この研究成果は、すでに論文として執筆済みであり、2017年度刊行予定の学術誌に掲載される予定である。 (商店街の現在に関する研究)現地でのフィールドワークを実施し、商店街が苦境に立たされる現状の解明を目指した。特に、店舗の所有者が商売を辞めた場合に、店舗がシャッターを閉めたまま残されることについて扱った。商売を辞めても目抜き通りの住人であるという矜持がうかがわれ、「シャッター商店街」言説がもたらすネガティブなイメージとは事情が異なっていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
勤務校の校務の都合で2月~3月に予定していたフィールドワークを実施できなかったため、調査地を片方に強くウェイトを置く方針へと転換した。とはいえ、調査地を1か所に絞ったことにより労力を集中して投下することができたため、論文や学会発表つながる研究成果をあげることができた。 上記の理由により、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度以降は、2月~3月の春期休業中にも現地を訪れる機会をもうけることができるため、2か所の調査地にて現地調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
勤務先の校務との兼ね合いにより2月~3月に予定していた現地調査を実施することが困難となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、春期休暇中の校務が昨年度よりも減少する見通しであるため、昨年度実施する予定であった現地調査内容を組み込むことで実施する計画である。
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