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2018 年度 実績報告書

ポスト個人化社会における人類学的家族研究の再構築:北欧型親族介護を事例に

研究課題

研究課題/領域番号 16K16963
研究機関千葉大学

研究代表者

高橋 絵里香  千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90706912)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード家族介護 / フィンランド / 個人化
研究実績の概要

昨年度に引き続き、フィンランドの高齢者を支える制度外親族介護実践について、2018年8月と2019年2・3月に計60日程度の実地調査を行った。研究期間全体では通算で150日程度の調査を行ってきたこととなる。
今年度の調査では、高齢者およびその家族の暮らす住宅について集中的に質問した。高齢者が在宅で暮らし続けるためには住宅を維持するための様々な「手入れ」が必要であり、家族が重要な役割を果たしていることが分かった。また、人びとは若年期から家を購入したうえで頻繁に買い替えを行っており、老年期には高齢者向け住宅への買い替えも起こっている。その結果として、不動産の子世代への相続がきわめて不確実で予想の難しいものとなり、家の継承についての構造的な困難が、現在の家族・親族の介護実践にも影響を与えているのである。
研究期間を通じて、高齢者の制度外介護関係に影響を与える様々な要因が浮かび上がってきた。具体的には、今年度に調査した住宅の所有状況の他に、これまでのライフコース、子世代における離婚・再婚の増加、公的な高齢者ケア制度とその民営化等が挙げられる。これらの要因は、ポスト個人化としてまとめることができるような家族形態の変化とも深く結びついており、制度外介護という実践として結実していると考えられる。
以上のような研究成果について、今年度はIUAES(International Union of Anthropological and Ethnological Sciences)の第18回世界大会、日本文化人類学会第52回研究大会で発表を行い、プロシーディングスにも掲載された。期間全体を通じ、国際学会での発表を計6回行ったことになる。また、人類学的再分配研究をテーマとする論集において、調査地の緊急通報システムを題材として、高齢者ケアをめぐる公私の配分が変化しつつある状況についての論考を分担執筆した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Publicly Privatized: Interpreting the relative care support services in Finland and the neoliberal reform of Nordic welfare states2018

    • 著者名/発表者名
      Erika Takahashi
    • 雑誌名

      Conference Proceedings Anais 18th IUAES World Congress

      巻: P-Z ページ: 1844-1849

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Publicly Privatized: Interpreting the relative care support services in Finland and the neoliberal reform of Nordic welfare states2018

    • 著者名/発表者名
      Erika Takahashi
    • 学会等名
      18th IUAES World Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] 福祉国家と天気ーー高齢者ケアからみた人類学的風土論にむけて2018

    • 著者名/発表者名
      高橋絵里香
    • 学会等名
      日本文化人類学会第52回研究大会
  • [図書] 「誰がボタンを押すのか-フィンランドの緊急通報システムにみる要求/ 提供のダイナミクス」『再分配のエスノグラフィー』浜田明範(編)2019

    • 著者名/発表者名
      高橋絵里香
    • 総ページ数
      256 (39-62)
    • 出版者
      悠書館
    • ISBN
      978-4-86582-036-2

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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