研究課題/領域番号 |
16K16966
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山崎 吾郎 大阪大学, COデザインセンター, 特任准教授(常勤) (20583991)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 身体変容 / 技術 / 自然と文化 / 医療 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、身体変容をテーマとした現地調査、そして、自然と技術の理解に関わる人類学的な概念の系譜とその可能性についての研究、という二点を目的として研究活動を行った。研究成果としては、調査にもとづく研究報告をまとめて、国内学会にて1件報告を行った。また、「自然」のとらえなおしに関わる人類学的な概念および方法論を再検討し、それぞれ国際会議での発表1件、国内学会1件の発表を行った。英語論文の執筆については、国際ジャーナルに論文1本を投稿し、査読のうえ掲載が決定している(平成28年度に掲載予定)。その他、本研究に関わる「自然の人類学」「人類学の哲学」等について、近年の学術動向を日本語でまとめた文章を執筆し、来年度に書籍の一部として刊行予定となっている。 身体変容に関する本研究の方向性は、「比較形而上学」と呼ばれる近年の哲学・人類学における研究潮流との接点が重要であることが今年度の活動から明らかとなり、この点が次年度の課題となる。この点については、国際会議での研究者との交流やその後の意見交換が有意義であった。 次年度にむけて、とくに概念的なアプローチについては、「比較」の方法論的検討およびその実践が重要になるため、医療現場にかぎらず、自然と文化の再編成に関わる研究テーマを積極的に参照することで、本研究の厚みが増すものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際会議、国内学会での研究成果の発表は、研究計画のとおりに行うことができた。海外研究者とのネットワーキングという点では、共同開催したワークショップの機会が、本研究の進展に一定の進捗をもたらしており、この点は当初の計画を上回る成果であったと評価できる。一方で、論文の執筆計画がやや遅れており、次年度の課題としたい。予算の執行計画については、予定していた国際学会への参加1件が日程的に困難となったため、予定していた執行額を下回っている。この点については、二年目、三年目の計画を再考し、研究活動の進展に効果的につなげたい。全般として、調査のデータは集まっており、次年度以降も計画にしたがって研究発表、論文の執筆に取り掛かることができれば、十分に当初の計画を達成できるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
3年目に予定していた「技術に媒介された生」に関する主題について、前倒しで取り組む予定である。これは、1年目に行った「新しい自然の人類学」や「比較形而上学」というテーマの探求が、本研究において重要であることが明らかとなったためであり、当初、比較の参照先として想定していた宗教的実践についての研究よりは、むしろ自然のプロセスの記述に関する近年のSTSや科学実践の人類学の成果を参照することが有効であると判断した。研究計画に大きな変更はなく、成果の報告としては、国際学会での発表、国際ジャーナルへの投稿、その他日本語での論文等の執筆を精力的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際学会への参加が日程の都合で困難となり、旅費として計上していた予算を、次年度に回すこととなった。また、年度の途中で所属が変更となったことにともない、予算の執行計画に若干の変更が生じた。そのことで、物品費が当初の想定よりもかからずに済んだため、今年度の予算執行額が計画を下回っている。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会への参加回数を当初の予定よりも増やすことを計画している。そのことにより、研究成果の海外への発表機会がまし、他の研究者との交流の機会も増えるため、本研究の進捗にとってもっとも有意義な使用用途であると思われる。
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