文化人類学の視点から新たな消費文化論の確立を目指していた本研究では、中国雲南省およびその周辺地域におけるモン衣装の生産、流通、消費の考察をおこない、ローカルな文脈に根ざしたその動態を明らかにした。本研究では、現代的な商業活動における「民族衣装」の意味とその位置づけ、商業活動と「民族衣装」の表象との相互関係、およびこれら商業活動を促進させるモン女性の稼得労働の実践について考察した。本研究の意義は、消費を切り口として「民族衣装」とは何かを明らかにすることで、文化人類学から現代消費文化を論じる枠組みを提示したとともに、装いの文化論の外縁の拡大させたことにある。
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