研究課題
本研究の目的は、フィジーで確立したレッド・ウェーヴ・アート(絵画芸術のスタイルや世界認識)がオセアニア島嶼域へ流通する動態に着目し、各種図像が継承・創出された経緯や流通経路を実証的に解明するとともに、その社会的意味を分析することにある。とりわけ、レッド・ウェーヴが基盤とするオセアニア的「集合性」が、国家・民族的属性に由来する差異を包摂していくメカニズムを明らかにすることをめざす。2018年度は、以下の通り文献研究と海外調査をおこなった。1.文献研究人類学における芸術論やオセアニア地域研究にかんする文献研究をおこなった。とりわけ、東南アジア島嶼部とオセアニア地域(主にメラネシア)との文化的連続性に関して考察を深めたほか、芸術および物質文化研究の集合性の議論における本研究の理論的位置づけについて考察を進めた。2.海外調査インドネシア(2018年8月)、フィジー(2018年9月)、米国ハワイ州(2018年11月)、米国準州グアム(2018年12月)にて海外調査をおこなった。インドネシア・カリマンタン島・ジャワ島では、先住民族の復権運動に用いられる図像表象について、インドネシア・スラウェシ島では、図像表象における動植物の利用について調査をおこなった。フィジーでは、主に首都スヴァにてレッド・ウェーヴ・アートの調査および国立アートギャラリーの建設に関する調査をおこなった。米国ハワイ州および米国準州グアムでは、オセアニア的集合表象にかんする図像収集を継続したほか、観光市場における図像表象に関してのインタビュー調査を行った。
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美術手帖
巻: vol.70, no.1067 ページ: 60-69
B07BF248BM