研究実績の概要 |
古代ローマ法における遺贈と担保との関連性を検討する課題を進めることが出来た。近時の研究文献を下記の通り検討しつつ、国内外の学会・研究会に出席し、情報を得ると共に、論点を発掘し深化させてきた。一次史料の解釈については公表論文にまとめた。 ローマ相続法を論じた文献のうち、W. Buchwitz, Servus alienus heres : die Erbeinsetzung fremder Sklaven im klassischen romischen Recht (2012)については、著者と適宜連絡を取ることが出来た。部分的な読解ながら疑問点を抽出している。 U. Babusiaux, Wege zur Rechtsgeschichte : romisches Erbrecht (2015)については冒頭三分の一程度まで精読を終えた。 行政法についてはA. Fernandez de Bujan, Antonio y G. M. Gerez Kraemer (ed.), Hacia un derecho administrativo y fiscal romano II (2013)の検討を進めつつある。 7月には研究会で、9月には国際学会で研究発表を行ない、内容は論文で公表した。公表論文に対する世評は未だ届かないが、研究者各位に送付を予定しており、来年度中には多くが寄せられるものと思われる。 なお、相続行政が担保と関連を有した点については、公表論文では十分に検討できなかった。そこで、少し視野を広げて担保法制に関する古代法文献を一次史料、二次文献共に検索し直し論点を深化させる予定である。また、予定した学会参加を登壇者変更に伴い中止した。この点は来年度に別の機会として、国際学会への参加を予定し、これにより補うことが出来るよう手配を済ませた。
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