研究実績の概要 |
古代ローマ法における遺贈と担保に関し、特に遺贈の実務を検討する課題を進めた。古代の法廷弁論に関する近時の研究文献を踏まえつつ、国際学会や国内の研究会で報告し、論点を整理した。その上で、遺贈に関連する特殊な法制度について、公表論文にまとめた。 ローマ相続法に新たな光を当てるU. Babusiaux, Wege zur Rechtsgeschichte: roemisches Erbrecht (2015)については精読を半分程度まで終えた。 行政法についてはK. Morrell, Pompey, Cato, and the governance of the Roman Empire (2017)を検討しつつある。同書は、属州経営に関する紀元前1世紀の像を更新した。民会制定法との関連で注目される属州統治体制の変更は、2名の著名な政治家の主導により、帝国全体との関連で理解されるべきとするものである。この知見を踏まえ、相続実務が如何に変容するのか、統合的な分析に着手した。 4月に九州大学で開催されたローマ法講演会、及び同月に上智大学で開催されたローマ法研究会では、バルセロナ自治大学から招へいしたスペイン人研究者の講演で通訳を担当し、事前に配布した発表原稿の翻訳も行なった。 7月にも開催された上智大学でのローマ法研究会では日本語による研究報告を行ない、これを基礎として9月にはフェルナン・ドゥ・ヴィシェ記念古代法史国際学会SIHDAで研究発表に結実させた。
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